読書スピードが20%向上? 注目の電子書籍の取り組みを紹介

ダ・ヴィンチニュース / 2013年7月18日 11時30分

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読書の速度が20%も向上するという大日本印刷(DNP)の技術「読書アシスト」。画面は全体の1/3程度しか使われず、改行・改段が施されている

 毎年7月に、東京ビッグサイトで東京国際ブックフェアというイベントが開催されています。それと併催される形で、国際電子出版エキスポが開催されており今年で18回目を数えています。Kindleが日本でも始まって以来はじめてとなるこのイベント。基本的には業界向けのイベントですが、私たち読者にも影響が及びそうなトピックスも。一体どんなことが語られ、どんな展示があったのでしょうか?

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「街中を書店にする」という意欲的な取り組みを押し出していたのは、大手印刷会社トッパングループの電子書店BookLive。専用のカメラアプリ「BookLive!カメラ(仮)」を使いスマホのカメラで本の表紙やランドマークなどを写すと、それに関連した電子書籍が表示される、というものです。

 まだアプリストアでの提供はされていませんが、年内にはBookLiveの取扱いタイトル18万冊に対応したいと担当者は意欲を語ってくれました。このアプリ注目すべき点はGPS情報を元に、書店を特定し、その書店が扱っていないタイトルをこのアプリから購入した場合に、書店にも手数料を支払うことを想定していることです。

 現在、いわゆる「街の本屋さん」が減り続けています。Amazonをはじめとするネット書店の豊富な在庫の中から本が選べる魅力に負けているというのがその理由の1つとして挙げられるでしょう。一方、本屋さんではその中を歩き回ることによって得られる「本との出会い」が生まれます。誰もが本屋さんで気になる表紙やタイトルの本を目にして、つい買って帰ってしまったという経験を持っているはずです。

 この「BookLive!カメラ(仮)」アプリを使えば、たとえ本屋さんにその本の在庫が無かったとしても、ポスターやカタログ、POPなどの本の表紙画像からその本を試し読みしたり、電子書籍を購入することができるようになる、というわけです。現在のところ、まずはグループの三省堂書店での展開を予定しているということですが、もし一般化すれば「ハイブリッド書店」実現に向けた一歩となるかも知れません。期待したいところです。

 もう1つの大手印刷会社大日本印刷(DNP)も大きなブースを構えて様々な技術、サービスを展示していましたが、筆者が着目したのは「読書アシスト」という技術です。

 通常、電子書籍は端末の画面一杯に文字が表示されます。しかしこの技術では、画面は全体の3分の1程度しか使われず、改行・改段が施されます。これによって、読書の速度が20%も向上するというのです。視点を移動させる量が少なくなり、改段によっていま自分がどの行を読んでいるかどうかが直感的に認識できることで、スムースに文章を読み進めることができるのが、その理由です。

 この技術は電子書籍の特徴をよく活かしたものだと言えます。紙の書籍と異なり、電子書籍では「リフロー」と呼ばれる仕組みによって、文字のサイズや行間を自由に変更が可能です。タブレットやスマホなど様々な画面サイズに紙面を最適化することがその目的ですが、「読書アシスト」はこのリフローを更に一歩推し進めたものだと言えるでしょう。

 実際、筆者も会場で試してみましたが、確かに読み進めやすく、疲れも少ないように感じられました。こちらも将来、DNPグループの電子書籍サービスhontoの扱いタイトルを対象に展開していきたい、ということでした。

文=まつもとあつし
(ダ・ヴィンチ電子ナビ 『まつもとあつしの「電子書籍」行ってみた聞いてみた!』より抜粋)

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