吉村卓也「今、“自分らしさ”のある文章を見つけようともがいてます」

ダ・ヴィンチニュース / 2013年8月9日 12時10分

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『新装版 コインロッカー・ベイビーズ』(村上 龍/講談社)

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、10月から舞台『私のホストちゃん』に出演する吉村卓也さん。村上龍の『コインロッカー・ベイビーズ』の初版ハードカバーを持参して行われたインタビューでは、その魅力を語りつつ、現在執筆に挑戦しているという舞台脚本についても話してくれました。

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「僕の中で、すごい! と思わせてくれる小説家はたくさんいますが、鬼才という言葉が何度も頭に浮かんだのは村上龍さんだけなんです。読みながら、何度も“どれだけすごいんだ!?”と恐ろしくなりましたね」

 初めて『コインロッカー・ベイビーズ』を読んだ時の衝撃を、吉村さんはそう語る。子供の頃から本を読むのも、文章を書くのも大好きだったという。その彼が、人生を変える一冊に出会い、その後、芝居を始めるようになってから、「自分も舞台の台本を書いてみたい」という衝動に駆られたのは、ある意味、必然だったのかもしれない。

「物語のアイデアはどんどん出てくるので、なんとなく安易に“書けるかも!?”と思って始めたんです。でも、いざ書いてみたら全然面白くなくって……(苦笑)。比喩表現が大好きなので、そこを凝り過ぎるあまり、逆に何にも伝わらない内容になってしまうんですよね。もちろん、龍さんのような文章表現はできないし、ましてや、あれだけメッセージ性のあるものは書けません。ただ逆に言えば、自分には到底作り出せない世界観があることが分かった。それだけでも大きな進歩だと感じています。今は、自分らしさとは何か、自分の中から何を生み出せるのかを、必死にもがきながら探しているところです」

 “できない”ということに、悔しさや焦りはない。むしろ、その状況を楽しんでいるようでもある。気持ちは常にポジティブだ。

「下手だからこそ、ステップアップできると思うんです。書く度に悩んで、考えて、その度に書き方や表現方法が変わっていく。そうやって少しずつ自分のカラーを見つけていく作業ってすごく素敵だし、楽しいですね。目標としては、なんとか来年に自分の舞台を作りたいと思っているので、それまでには僕にしか生み出せないものを見つけていきたいですね」

取材・文=倉田モトキ 写真=引地信彦
(ダ・ヴィンチ電子ナビより)

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