ヤマザキマリが描く漫画的すぎるスティーブ・ジョブズ

ダ・ヴィンチニュース / 2013年8月22日 11時30分

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『スティーブ・ジョブズ』(ヤマザキマリ:著、ウォルター・アイザックソン:原著/講談社)

 ネットではすでに祭りになっている『Kiss』(講談社)連載作品の単行本『スティーブ・ジョブズ』(ウォルター・アイザックソン:原著/講談社)。飛びつきました。描いているのは『テルマエ・ロマエ』のヤマザキマリ。急逝したアップル創業者の自伝がコミック化されたとのニュースは、連載開始の3月の段階で英高級紙『ガーディアン』までもがとりあげたほどの話題(しかも、テルマエがマンガ大賞受賞したときの英語記事にリンクする丁寧な仕事ぶり)。画力とストーリーテリングに定評のある漫画家が、IT業界&米財界きっての奇人でもあった現代の偉人の公認伝記をコミカライズしたら、一体どういうことになるのでしょうか。

『スティーブ・ジョブズ』のもっと詳しい内容はこちら

 内容はまったく原作に忠実で、アイザックソンの回想から始まります。この1巻では、少年時代から、スティーブ・ウォズニアック(すげーいい奴!)との出会い、大学からのドロップアウト、そしてアタリ入社とインド放浪までが描かれています。もちろんジョブズの「現実歪曲フィールド」については冒頭で書かれているし、「オレ以外はみんなバカ」発言も。有名なエピソードばかりですが、ご本人があまりにも極端なキャラなので、非常にマンガ的というか、コミックとの親和性が高く、ノンフィクションであることを忘れそうになるほど。この企画を立ち上げた編集者のプロデュース力は荒巻太一以上だと思いました。

 巻末インタビューで、ヤマザキさんがジョブズについて最初に抱いていた印象として「威圧的でイヤな奴という印象でしょうか。独裁的で、自分のやり方に従わない奴は容赦なく排除していく……超資本主義的ですよね」と語っているのも客観的に信用が置ける感じ。ジョブズを神のように崇めている作家が描いたらきっと新興宗教のパンフレットみたいになっちゃって、こんなに面白くはならなかったと思います。また「○○社の○○を参考にジョブズは機械を作った」と原作では一文で書かれているところもこだわって絵に起こしたという話も。原作を読んだ方にも面白く読める作品ではないでしょうか。今後、ゲイツやマードックも出てくるはずで、彼らがどのように描かれるかも楽しみです。

文=遠藤京子
(ダ・ヴィンチ電子ナビより)

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