「鉄腕アトム」のトロフィーが似合う業田良家『機械仕掛けの愛』

ダ・ヴィンチニュース / 2013年9月6日 12時0分

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『機械仕掛けの愛』(業田良家/小学館)

 ロボットと人間、マンガにおいて不滅のテーマだ。手塚治虫の『鉄腕アトム』はその代表的な例だが、石黒正数の『外天楼』など、最近のSFものにもロボットをモチーフとした良作は続く。

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 今年、手塚治虫文化賞短編賞に選ばれた業田良家の『機械仕掛けの愛』もその一つだ。持ち主を転々とする少女型のペットロボ、思い出を主人に託された執事ロボ、英雄と称えられた兵士ロボ……。様々なロボットを主人公に1話完結の短編で展開される。ロボットたちにはもちろん感情はないはずだが、愛について苦悩したり、喜んだりを繰り返す。オイルの涙をボロボロとこぼすのだ。しかし、それらは機械の「単なる機能」にすぎない。そうした前提があることにより、ロボットたちの思いがより純化され、読者の心に迫ってくる。

 そんな本作も今夏に発売された2巻で、第1部を終了する形となった。最終話では、地震による津波で家族を流された少年と彼を見守るロボットの話が登場する。それまで描かれた短編の集大成となっていて、ロボットたちが紡いだ愛の記憶がすべて詰まっている。筆者は、読んだ後しばらく涙が止まらなかった。

 最終話を読み、本作ほど「鉄腕アトム」のトロフィーが似合う作品もないと実感した。第2部の再開も待ち遠しい。

文=倉持佳代子
(ダ・ヴィンチ10月号「出版ニュースクリップ」より)

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