作者はあの人! 宇宙一最低で酷いマンガがなぜかAmazonレビューで満点の不思議!

ダ・ヴィンチニュース / 2013年9月16日 7時20分

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『罪と罰』(漫F画太郎:著、ドストエフスキー:企画・原案/新潮社)

 漫☆画太郎のマンガは「好き嫌いがはっきりわかれる」「読む人を選ぶ」とよく言われる。その作風は、下品で下劣、下ネタ満載で、プロにあるまじきコピーの多用、見たくもないババアの裸がこれでもかと登場する、極めてマニアックなもの。しかし、一般の読者だけでなく、著名人や作家にもファンを公言する人が多いのも事実だ。
 
 そんな画太郎先生が、漫F画太郎名義で描いた最新作『罪と罰』(新潮社)のAmazonのレビューが面白いことになっている。

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 この作品、原作はロシアの文豪ドストエフスキー。主人公は、善いことを行うための悪は許されるという考えから、強欲な金貸しの老婆を殺して、奪った金を世の中の役に立てようと計画する。その計画はあることから狂いはじめてしまい、その後は罪の意識にさいなまれる。といったストーリーなのだが、画太郎先生が描く『罪と罰』はもうそんな話ではない。

 冒頭の自惚れた主人公が老婆を訪ねて行くあたりは原作そのままともいえなくはないが、そこから数ページ進むと、そこはすでにまごうことなき画太郎ワールドが繰り広げられているのである。

 そしてAmazonのレビューなのだが、1巻に寄せられたレビューで、ある人は「酷かった」というタイトルでレビューし、満点の星5つ。そしてそのレビューを見たほぼ全員が「参考になった」としている。他にも「画太郎による名作文学レイプ」というタイトルのレビューでも星5つ。「騙されるな! この表紙は罠だ!」でも星5つ。3巻のレビューでも「宇宙一最低な漫画です」で星5つ、とにかく「最低だ」「酷い」が褒め言葉のようになっているのだ。

 その中で2巻に寄せられた、「これはひどい」で星1つをつけている人がいるのだが、これは、一般的にみればコメントと星の数が一致している至極まっとうな意見。にもかかわらず「ひどい」のになぜ星1つ? と思わず感じてしまうほど、もうAmazonの読者レビューは画太郎ワールドに染まっているのである。

『罪と罰』のコミックのカバーイラストは最終巻の4巻を除いてそれぞれ全く別のマンガ家が手がけており、全巻を並べてみると、そのちぐはぐさがまた画太郎ワールド的に感じられ、画太郎先生が描いた4巻のカバーは醜いブス女にもかかわらず、なぜかそれだけが普通に見えてくる。

 そして、コミック各巻の巻末にはライター・吉田大助氏のとても真面目な、各話ごと(!)の解説が掲載されており、ここでもこの真面目な解説が逆にふざけたものに見えてくるのが不思議だ。

 画太郎作品が肌に合わず、本当の意味で「酷い」とか「面白くない」と言っても画太郎ワールドでは褒め言葉だし、真剣に読み解いてみたところで意味があるのか、もはやわからない。しかし、Amazonのコメントを書いた読者をはじめ、画太郎先生をとりまく人たちから感じるのはまごうことなき画太郎作品への愛なのだ。一度読み始めると目が離せなくなるばかりか、愛おしく感じてしまうのが漫☆画太郎作品なのだ。

文=村上トモキ
(ダ・ヴィンチ電子ナビより)

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