約半世紀ぶりにリニューアル 伊勢丹の紙袋に使われる「タータン・チェック」とは?

ダ・ヴィンチニュース / 2013年11月18日 11時40分

写真

『ファッション辞典』(大沼淳、荻村昭典、深井晃子監修/文化出版局)

 1886年創業の百貨店「伊勢丹」が、2013年10月30日、約55年ぶりに紙袋のデザインをリニューアルした。以前の濃い緑をベースに赤、黄の格子を使ったタータンチェックは「マクミラン/アンシェント」という色と柄をアレンジしたものだったが、今回のリニューアルでは格子を大きくして、色調も柔らかい組合せにした「マクミラン/イセタン」という名前を冠したものとなり、2012年12月13日に「The Scottish Register of Tartans」に登録された。

関連情報を含む記事はこちら

 以前のデザインは、1956年に伊勢丹新宿店にオープンした「ティーンエイジャーショップ」で売られたマクミラン/アンシェントのスカートやマフラーが好評を博し、1958年頃からその売り場専用の紙袋として誕生したもの。商品は包装紙で包んでもらうのが普通だった昭和30年代、そして「ティーン」という言葉が一般に定着していなかった当時としては最先端のアイテムだった。その紙袋が客に人気となり、60年代から全館で使うようになって現在に至っている。伊勢丹はその長年にわたるタータンのプロモーションに貢献した功績を認められ、2012年にスコットランド・タータン協会から「タータン・アワード」のパッケージ部門を世界で初めて受賞している。

 ファッション用語を「アイテム」「アクセサリー」「歴史服と民族衣装」など12のジャンルに大別、さらにドレスや帽子などの細かなパートに分け、それにまつわる用語について詳細な解説と写真や図解が掲載されている『ファッション辞典』(大沼淳、荻村昭典、深井晃子監修/文化出版局)で「タータン」を調べてみると、「色格子柄の綾織物。経(たて)と緯(よこ)同色、同本数の多色づかいの格子柄が特徴」とあり、紙の上のデザインではなく織物であることがわかる。そしてその由来には「元来スコットランドの氏族(クラン)が独自の模様を定めて紋章などに用いたもので、これをクラン・タータンという」と書かれている。

 「クラン・タータン」とは <スコットランド高地人の氏族> の意。スコットランド地方の貴族一門に固有の家紋に使われたタータンのこと。その種類は分家などにより増え、現在名家に伝わるタータンは百数十あるといわれている。その代表的なものとして「キャメロン、スチュアート、ブラック・ウォッチなどがある」と説明されている。

 また「タータン・チェック」は「スコットランドで古くから用いられてきたタータンのような格子柄の総称。正しくはタータン・プラッドという」とあり、さらに「プラッド」を調べてみると「格子柄のこと。チェックとの違いは、厳密にいうとプラッドが線構成のものをさすのに対し、チェックは碁盤縞のことで、地と縞の面がほぼ同面積のもの。しかし今日、この両者の区別はほとんどない」そうで、本来の「チェック」とは市松文様のような柄を指すものなのだそうだ。

 ちなみに「クラン・タータン」の代表的な柄として挙げられている「ブラック・ウォッチ」は、1968年に伊勢丹新宿店に「男の新館」がオープン(男性専門のデパートは日本初の試みだった)した際に採用した紙袋の柄として使われている(この柄はリニューアルされず、現在もメンズ館の紙袋として使用されている)。『ファッション辞典』によると、英語表記は「Black Watch」で、「ウォッチとは <見張りをする> の意で、夜番の着るような暗い配色の格子柄。紺と濃緑に黒のライン入りのものなどが代表的」とある。普段何気なく使っているファッション用語だが、こうした辞典できちんと調べてみると、案外とその意味を知らずに使っていることに気付かされることだろう。


文=成田全(ナリタタモツ)

ダ・ヴィンチニュース

トピックスRSS

ランキング