ロッカールームにタオルがないことも。寄せ集め球団としてスタートした「東北楽天」の軌跡

ダ・ヴィンチニュース / 2013年11月24日 11時20分

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『楽天イーグルス優勝への3251日 球団創設、震災、田中の大記録…苦難と栄光の日々』(山村宏樹/KADOKAWA/角川マガジンズ)

 スペインに住んでいる私にすら、東北楽天ゴールデンイーグルスの初のリーグ制覇、次いで日本シリーズの優勝は力強く伝わって来ました。ネット上の様々な記事やコメントにその熱気に流されるまま、とりあえず『楽天イーグルス優勝への3251日 球団創設、震災、田中の大記録…苦難と栄光の日々』(山村宏樹/KADOKAWA/角川マガジンズ)を購入。震災の災禍も記憶に新しい東北という舞台。寄せ集めの新球団の赤字経営。野村監督、星野監督と超一流の監督を迎えながら低迷の時期を乗り越え、そして田中投手の活躍….どこをとっても、ドラマがぎっしりという球団。だからこそ、日本中が燃えたのではなでしょうか。

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 著者の山村宏樹氏は大阪近鉄バッファローズの選手だったのが、球団の消滅を受けて、イーグルスへ。「来年野球ができるのだろうか?」という状態から始まったと語ります。プロ野球選手ですら、その成績に関わらず失業の可能性があるというのもシビアな状況。全くのゼロからの寄せ集め球団。最初の頃には、十分なロジスティックスもなく、ロッカールームにタオルすらないときもあったとか。混乱期を経て、赤字の球団経営は着々に回復し、そして9年目で優勝を遂げる。その裏が面白くないわけがありません! ことに心に打つのは、東北のファンを大事にする球団の姿。そして被った震災と、その後の球団の決意。だれもが彼らの優勝に湧いたのは、久しぶりに野球が「夢」を見させてくれたからではないでしょうか。

 復興と一緒に球団も強くなってゆくという感覚は、地元ファンには格別な思いがあるはず。マー君の活躍ぶりもさることながら、野球というのがチームの仕事で、球場に出る人も出ない人も、1軍も2軍も関係なく、大家族のような団体なのだとよくわかります。花形のスポーツ選手すら、仕事人のひとりにすぎません。チームが力を合わせて目標に向かえば、必ず成就するという希望を与えてくれる1冊です。

文=ワイコブ

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