鈴木京香「“役”ではない、“舞台で生き抜く”という初めての感覚を味わっています」

ダ・ヴィンチニュース / 2013年12月11日 11時40分

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『丁寧に暮らすために。my favorites A to Z』(鈴木京香 /講談社)

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、初の著書となるエッセイ集『丁寧に暮らすために。my favorites A to Z』を上梓した鈴木京香さん。女優生活25年目の今年、三谷幸喜さんと1対1のタッグを組んだ舞台『声』にも挑む。初のひとり芝居を前に今感じていることとは?

鈴木京香さんが選んだ1冊とは?【画像あり】

「いつかエッセイを書いてみたいなぁと思いつつ、片隅で“無理かな”と思ってしまう自分がいたんです。ですから、今は、書きあげられたという喜びでいっぱい。さらに、“もっと書きたいことがある”と思っている自分を認識できたこともうれしい発見ですね」

 そんな京香さんが、今、取り組んでいるのが12月18日から東京・スパイラルホールで幕が開く、ジャン・コクトーが遺したモノローグ劇『声』。演出の三谷幸喜さんとともに挑む、初のひとり芝居では、一人の男への叶わぬ愛を時に狂おしく、時に微笑みを湛えながら、電話に語り続ける女性を演じる。

「情熱的で、すごく可愛らしい女の人なのですが、共感するところがあまりない人だったんです。けれど、役が自分の中に沁み込んでくるにつれ、身内のように守ってあげたい存在になってきた。別れた男性に、愚かで、時に激しい言葉を投げつける彼女の辛い気持ちを代弁してあげたくなるような」

 そうした役への入り込み方は、自身の内に見た新たな発見だったという。“電話を通した声”だけで、観客には見えない相手との会話、間や沈黙さえも“セリフ”として表現する、緻密な構成のひとり芝居を通して。

「これまでは自分が与えられた役割をどれだけしっかり演じるか、まっとうするか、作品のなかのひとつのピースとして自分を見ているところがあったんです。けれど、この『声』では、役割という感覚がない。今までは口にするのも憚られたのですが、“この女を生きる”――それが今、自分が抱いている感覚です。演じようとか、表現しようとかではなく、舞台の上で“なんとか生き抜くぞ”という。こうして言葉にすると、すごく照れてしまうのですけれど」

 コクトーの描写した、女性の心の襞のようなもの、その繊細さには驚きを感じると語る京香さん。そして三谷幸喜さんの新鮮な演出にも――。

「戯曲は80年以上も前に書かれたものですが、けっして難しい作品ではありません。電話の向こうにいる男性への心から血を流すような狂おしさ、そして自身の愚かさ、哀しみのなかに、茶目っけさえも感じられるような女性像にして演じたいと思います。コクトーファンの方も、三谷ファンの方もぜひ観にいらしてください」

取材・文=河村道子

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