『ゴルゴ13』を描くのは苦手だった! さいとう・たかをが語る制作秘話

ダ・ヴィンチニュース / 2014年2月18日 11時30分

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『ゴルゴ13』(さいとう・たかを/ リイド社)

 国民的人気マンガ『ゴルゴ13』の連載が始まって、去年の11月で丸45年。読んだことはなくとも、その凄腕スナイパーというキャラクターや「うしろに立ってはいけない」などの設定は誰もが知っているだろう。そんなゴルゴの誕生秘話と制作の裏話を、『ダ・ヴィンチ』3月号「マンガヒーロー&ヒロインランキング」特集で、著者さいとう・たかを自身が語っている。

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 連載を始めたときには、まさかこんなに長く続くとは思ってもみませんでした。単純な主人公ですし、ストーリーを作ってもせいぜい10パターンくらいにしかならない。だから、10回も続けば十分だろうと考えて、最終回のエピソードも頭の中でコマ割りやセリフまで作っていました。

 ところが、もっと続けて欲しいという読者のみなさんや編集者に励まされてここまで来てしまいました。みなさん、ゴルゴがかっこいいと言ってくださいますが、私にはそこがわからない(笑)。ゴルゴは臆病なキャラクターです。臆病だから生き延びられるのです。決してかっこいいわけではない。

 連載にあたって編集部から出された注文は、「強烈に印象が残る主人公にして欲しい」ということだけでした。それなら悪に限る。そこで、非情な殺し屋という設定が生まれました。

 イメージしたのは45年前の高倉健さん。年齢は当時の私よりひとつ上の32歳。デューク東郷という名前は、私の中学校時代の恩師で、私が唯一尊敬できる先生だった東郷先生から拝借しました。あとは、みんなで話し合いながら計算して作りあげていきました。愛用のアーマライトという銃は、当時アメリカ軍が使っていて、水に浮くというのが売りでした。ただ、性能はそれほどすごくはなく、スペシャルということにしました。

 そのほか、決して握手をしないとか、背後に人を立たせないとか、殺しを依頼する方法といった細かな部分は連載を続けながら加えていったものですね。これがよかったのでしょう。

 ゴルゴの過去を探るエピソードも作りました。たいていは、「別人だった」という結末で、相変わらずゴルゴの過去は謎のままですが、このルーツ編はいくつか描いて、それぞれに反響がありました。連載が長く続いた結果として一番残念なのは、ルーツ編がもう描けなくなったことです。私よりひとつ上というはじめの設定のままでは、ゴルゴは78歳のおじいさんになってしまいますから(笑)。

 ゴルゴといえば「寡黙」というのがすっかり定着していますが、連載当初のゴルゴは意外に饒舌なんです。ところが、あまり喋らせるとボロが出るので、ゴルゴには喋らせずに、話を進める上で必要な説明はまわりの登場人物に語らせる、ということにしました。ストーリーに時事ネタを入れたのは、ゴルゴがあまりにも荒唐無稽だからです。実際にこんな人物がいたら1カ月と生きていられません(笑)。そこで、まわりの設定をリアルにするために時事ネタを使ったのです。

 実を言えば私は、いろいろ調べて描く現代ものが苦手なんです。昔、貸本マンガで『台風五郎』という探偵ものを描いていたことがありますが、あの頃から現代ものは描きづらくて、今でもダメです。私が描きたいのは時代ものやSF。時代ものなら安心して描けるんですけどねえ。ところが一番苦手なものを、一番長く描いているわけですから不思議なものですね。


 同誌ではこのほかにもSEXシーンの裏話や、最終回の秘密なども語っている。

取材・文=中野晴行/ダ・ヴィンチ』3月号「マンガヒーロー&ヒロインランキング」特集

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