犯罪者かヒーローか!? 日常の裏側を描いたサイコ・サスペンスコミック

ダ・ヴィンチニュース / 2014年4月22日 12時10分

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『不能犯』(宮月 新:原作、神崎裕也:マンガ/集英社)

 フィクションの世界でひと時のスリルを味わうことで、何気ない日常が新鮮に感じられたことはないだろうか? 私たちはつつがない毎日に飽き足らず、常に刺激を求めている。本当に危険なことが日常の裏側にあるとしたら、私たちは隙間にできた小さな穴から、そっと非日常を覗いているのかもしれない。

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 『ダ・ヴィンチ』5月号では、そんなダークサイドを垣間見るサイコ・サスペンスコミックを紹介している。

――日常と非日常。分け隔てられた世界のようだが、実は地続きで案外すぐそばにある。近年こうした不穏なムードを漂わせるコミックが活況を呈している。

 『不能犯』は人の心を誘導することで死に至らしめる殺人を生業とする男を描いた作品だ。そこで描かれるのは、嫉妬や復讐など依頼する側の狂気。むしろ、どろどろした犯行動機を持たない男はダークヒーローのようですらある。

 女刑事を執拗にストーキングする謎の美女を描いた『サイレーン』は、今のところ動機が不明。女の正体を確かめようと読み進めるうちに、ミステリアスな美女に魅入られている自分に気づかされる。

 筒井哲也の『マンホール』は、マンホールという日常的な穴を、社会の暗部として象徴的に描いた傑作サスペンスだ。2人の男がマンホールの地下に監禁され、寄生虫を植えつけられる。被害者は家庭内暴力を繰り返す男と児童連れ去りの犯罪歴がある男。「私刑」が行われたと推測されるが、その動機は? 事件が拡大してゆくスリリングな展開に息を呑むはずだ。

■『不能犯』(1巻) 宮月 新/原作 神崎裕也/マンガ 集英社ヤングジャンプC 562円(税別)
数々の変死現場に現れる謎めいた男・宇相吹は人の心を誘導し、“思い込ませる”能力を持ち、依頼を受けて人を殺める裏稼業だ。しかし、直接手を下していない彼の犯行は警察も証明できず、「不能犯」と呼ばれている。復讐や嫉妬、依頼する人間たちの狂気の物語。

■『サイレーン』(1~3巻) 山崎紗也夏 講談社モーニングKC 各552円(税別)
女刑事・猪熊は、ある女性の変死体発見現場で美貌のキャバ嬢・橘カラと出会った。同僚にして恋人の相棒・里見と共に日々の事件に奔走する猪熊だが、その後、幾度となく橘カラが二人の前に現れる。執拗に猪熊をつけ狙う妖しい美女の狙いとは……。

■『マンホール』(全3巻) 筒井哲也 スクウェア・エニックス ヤングガンガンC 各505円(税別)
街中で全裸の男が変死した。検死の結果、眼球から謎の寄生虫を発見。その後、全裸で街をさまよう男が保護された。男の身元は児童連れ去り事件の犯人。彼らは共にマンホールに監禁され、私刑が行われたと見られる。新型寄生虫の感染拡大を描くバイオ・ホラー。

 同誌では、超戦慄連続猟奇サスペンス・ホラーマンガ『ミュージアム』の著者・巴亮介のインタビューを掲載。ちばてつや賞ヤング部門の大賞を受賞した近年のサスペンス・ホラー最大の話題作の裏側にも迫っている。

構成・文=大寺 明/ダ・ヴィンチ5月号「コミック ダ・ヴィンチ」 

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