若手芸人より苦しい? 現役作家ランキング100位台に位置する中級作家の苦悩

ダ・ヴィンチニュース / 2014年5月10日 7時20分

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『中級作家入門』(松久淳/KADOKAWA 角川書店)

 作家という職業に憧れを抱く人は多いのではないだろうか?

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 たくさんの本に囲まれた書斎での執筆活動、文壇パーティーなど華やかな私生活、夢の印税生活。

 儲かっていないと大半の作家は言う。それでも、多少はお金持っているんでしょ? 筆者も昔はそう思っていた。しかし、周囲で作家活動をしている知人を見るとそんなこともないような気がする……あれ? いつもその格好してるよね? マクドナルドで執筆活動してるの? と、庶民的過ぎる人が多い。

 『中級作家入門』(松久淳/ KADOKAWA)では、そんな作家のリアルな作家の実態が伺える。過去には映画化された経験がある著者 松久淳さんの体験から、現役作家の実情を探ってみよう。

■印税は意外ともらえない!?
 “夢の印税生活”という言葉は良く使われる。しかし、実際には遠い夢である。一般的な印税の計算式は「本の定価×発行部数×印税10%-税金」となる。
 小説の新刊は発行部数が1万部に届かない本が全体の90%とも95%とも言われている。5000部すら届かない本も多数。仮に1500円の新刊小説を5000部出版したとすると……75万円の印税収入、そこから引かれる税金。それが1年かけて書いた渾身の1冊だったりしたら、食べていける額ではない。印税のみで生活しているのは作家の中でもほんの僅かな人のみだ……。専業作家といえども、著者の松久さんのようにライター業と並行して作家業を行っている人がほとんどだ。大半の作家はエッセイや書評などの原稿料をもらっている。その他、インタビューやテレビ出演などで稼ぐ作家もいる。また、作家デビューしても、これまで働いていた仕事を続け兼業作家として働いている人も多い。

■映画化された時の原作者の哀しい立ち位置
 映画化! それは作家にとって憧れ……しかし、実際には原作者というのは優遇されていない。まず、著書が映画化の打診をされた時には“オプション契約料”というものが発生する。この“オプション契約料”は簡単に言うと「映画化が確実に決定しているわけではないが、今から俳優に打診したり、スポンサー集めを行う。その間は他社とは契約しないでくれ」という映画化権をキープする契約だ。このオプション契約は発生したり、しなかったりする。

 松久さんの場合は2年間で10万円~30万円ぐらい。お金を払われず口約束だけの時もある。打診の際、映画化に向けて企画書を渡されるがそれは原作者に向けての企画書ではない。俳優やスタッフ、スポンサーに向けてのもの。何も決まっていない状態での映画化の企画書に書かれているのはあらすじだけ。もちろんあらすじを見せられても困ってしまう、自分が書いた作品なのだから……。しかも、オプション契約をしたとしても何も連絡がないまま契約期間を過ぎてしまうことも多いそう。原作者の身分は随分と低い。

 その他にも本書では撮影現場を見学に行き放置された話や、試写会に行き誰にも挨拶されず見事にスルーされた話などが書かれている。そんなに冷たい扱いをされてもお金が多く入ればまだ許せるかもしれない……しかし、実際に入るお金は映画化1本につき200万程度。有名作家でも500万ぐらいらしい。原作が売れるなどの収入は期待できるものの、苦労して書いた著書が映画化されたのに200万円……夢のない額である。

 本書で取り上げる中級作家とは現役作家ランキング100位~200位ぐらいに当てはまる人のことをさす。初級でもない上級でもない中級だからこそのネタがふんだんに詰まっている。中級作家でこの有り様なのだから、初級作家はもっと辛いだろう。本書を読めばリアルな作家の苦悩を理解できるに違いない。

文=舟崎泉美

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