菅原道真と在原業平がコンビを組んで事件を解決! 歴史ミステリコミック『応天の門』

ダ・ヴィンチニュース / 2014年6月5日 7時20分

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『応天の門』(灰原薬/新潮社)

 “学問の神様”、菅原道真。平安きっての歌人、在原業平。

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  もしもこの2人が京で起こる怪事件に挑む名探偵だったら?

 『SP 警視庁警備部警備課第四係』の灰原薬が大胆な着想で挑むミステリコミック『応天の門』(新潮社)の第1巻が発売された。
 
 平安時代の京、宮廷では藤原家が勢力を誇り、政事をすべて掌握しようと目論んでいた。その頃、都では連続して女官が失踪する事件が発生。巷では「鬼」の仕業ではないかと騒がれるなか、災厄の予兆だと不安がる帝の命をうけて在原業平が事件の調査を担当することになる。やがて検非違使(京の治安維持を任される役職)たちが、失踪した女官に付きまとっていた容疑者と思しき若者を捕えようとする。その捕り物騒ぎの最中、業平はひとりの青年に出会う。その人物こそ、わずか18歳で文章生(中国の歴史や漢文を学ぶ当時のエリート)になった菅原道真であった。道真が鋭い観察眼の持ち主であるを知った業平は、行方知れずとなっていた女官らしき死体の検分に道真を同行させる。業平の読み通り、道真は優れた洞察力で女官攫いの犯人を見事看破してみせるのだが……。

 歴史上の著名人を探偵役に配した歴史ミステリに、凸凹コンビの活躍を描く“バディ捜査もの”の醍醐味をミックスした作品だ。

 道真と業平は実際に交流があったと言われているが、本作における2人の性格は全く正反対である。

 道真は四六時中、書庫に引きこもってばかりの学問オタク。他人の感情に疎く、喋れば悪口のオンパレードで、親が心配になるほど対人関係に問題アリの人物である。

 対する業平は情熱家の歌人で、三度の飯より女が好き。隙あらば出会った女性に手を出そうとする、まさに肉食系男子の典型といったところ。

 堅物の秀才君とプレイボーイ、どう考えても水と油の2人だが、いざ事件となると道真はずば抜けた推理力を、業平は大胆な行動力と男女の機微を上手くとらえる才能を発揮し、お互いの弱点を補いあいながら難題をクリアしていくのだ。一見、相容れない2人が絶妙のコンビネーションを見せるのが魅力的なのですね。

 バディもののミステリとしてだけでなく、平安時代の欲望渦巻く政情を描いた歴史絵巻としても十分楽しい。道真と業平の行く先々には、権力を拡大させつつある藤原家の影がつねに付きまとう。魑魅魍魎が跋扈する貴族社会を、資質の異なる2人の男たちがどう渡り歩いていくのが今後の読みどころのひとつになるだろう。

 歴史好きな方、『相棒』『SHERLOCK』といった“バディもの”が大好きな方は必読のマンガだ。

文=若林踏

ダ・ヴィンチニュース

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