キン肉マン作者が明かす、地味過ぎるヒーロー“テリーマン”の魅力

ダ・ヴィンチニュース / 2014年6月24日 7時20分

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『ゆでたまごのリアル超人伝説』(ゆでたまご/宝島社)

「屁のつっぱりはいらんですよ」

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 何度も窮地に陥りながら、決して折れない心で逆転勝利を収めるキン肉マン。その姿にあこがれた少年はひとりやふたりではないはずだ。あれから30年。少年時代のあこがれを忘れ、仕事に追われるだけの日々に「自分はこれでよいのか」と悩む人も多いのではないか。

 そんなありふれた日々と自分を変えるヒントをくれる1冊が『ゆでたまごのリアル超人伝説』(ゆでたまご/宝島社)だ。『キン肉マン』は、プロレスの世界観でつくられた少年マンガである。個性的なキャラクターたちを、どのように演出し、観客である読者を楽しませるのか? ゆでたまご氏の演出法や、個性的な「超人」たちは、己の魅力を最大限に発揮し、人を魅了するための方法を教えてくれる。同著に掲載されたエピソードから、自分を演出するための方法論を模索してみよう。

■真の主役は「包容力」が違う――キン肉マン
 連載開始当初は、弱くてダメダメだったキン肉マンが真の主役になった理由。それは、あらゆる敵の技を受け切り、その敵すら魅力的に見せるというファイティングスタイルにあった。同著のなかでゆでたまご氏は、“強豪超人はもちろんのこと、たとえばキングコブラやベンキマンのような一芸特化型超人の特殊能力まですべて引き出したうえで反撃、そして勝利している”と評している。「心に愛がなければ、スーパーヒーローじゃないのさ」とはよく言ったもの。どんなダメ人間でも、相手を受け止める包容力があれば、ヒーローの資格を与えられるのである。

■地味でも何でも、立ち向かえ――テリーマン
 見た目は悪くないが、どこか地味。大した成果も挙げられない…。そんな人にお手本にしてもらいたいヒーローがテリーマンだ。彼の必殺技は実際のプロレスでも使われている実に地味なもの。作中での対戦成績も引き分けや負けが多い。それでもテリーマンが高い人気を誇っていたのは、自分を犠牲に仲間を引き立て、大柄な相手に果敢に挑んでいく姿が印象的だったからだ。同著でも“ファンに感情移入させる点で、テリーマンの右に出る超人はいない”とされている。地味で弱いのに、何度も立ち上がる。その姿に、女性も母性本能をくすぐられるのかもしれない。

■コワモテは「意外性」と「笑い」で勝負?――バッファローマン
 圧倒的な強さを誇る極悪超人だったバッファローマンは、悪役から正義のヒーローに転向し、その人気を確固たるものにした。そして、その転向シーンは実に衝撃的で、正義超人への転向を宣言すると同時に、なぜか「ヅラ」を外すという意外なものだった……。悪役が正義になること自体も衝撃だが、そもそもヅラであることのカミングアウト、そしてそれを脱ぎ捨てることは、当時の子どもたちにとって「笑撃」の事件であった。ゆでたまご氏も“とにかく、正義超人として生まれ変わることを強烈に印象づけるシーンが欲しかった”と同著で語っている。仕事はできるが、人望のない人、怖がられている人にとっては格好のお手本といえる。

 『ゆでたまごのリアル超人伝説』には、この他にも多彩なキャラクターと演出方法、そして原作者が愛してやまない「プロレス」の逸話もたっぷり掲載されている。この1冊を読めば、『キン肉マン』には原作者の深い「愛」が込められていることがわかる。そして、その愛は多くの人を魅了してきた理由であるように思える。『キン肉マン』の原作本を片手に、その裏側を読み解き、自らを見つめ直す。そんな童心に立ち返る時間が、あなたをスーパーヒーローに演出してくれるはずだ。

文=関口宏(Office Ti+)

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