寿司とサッカーの共通点とは? 世界のサッカーを巡る旅

ダ・ヴィンチニュース / 2014年6月27日 7時20分

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『フットボール百景』(宇都宮徹壱/東邦出版)

 今月13日に開幕したサッカーW杯ブラジル大会。日本代表はグループリーグ敗退という残念な結果に終わってしまったが、連日の熱戦に世界中が一喜一憂していることだろう。

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 サッカーが持つ魅力のひとつは、ボールひとつあれば楽しめるシンプルなルールゆえ、世界中で幅広く愛されているスポーツであることだ。一括りにサッカーといっても、たとえばW杯のように世界的注目を集める国際大会からJリーグのような各国のプロリーグ、さらには南米の子供たちが街中で楽しむストリートサッカーや視覚障害者によるブラインドサッカーまで存在する。

 そんな世界中の多種多様なサッカー風景を、色鮮やかな写真と情景描写豊かな文章のセットで紹介するのが、写真家・ノンフィクションライターとして活躍する宇都宮徹壱氏の著書『フットボール百景』(東邦出版)だ。

 本書は、著者が『週刊サッカーダイジェスト』(日本スポーツ企画出版社)で連載中の「蹴球百景」から厳選した100本のコラムに、書き下ろしのコラムを加えたもの。世界中でサッカーの現場に足を運んできた著者ならではの、異色のサッカー本だ。

 計101本のコラムには、世界的人気を誇るFCバルセロナやマンチェスター・ユナイテッドFCの話は出てこない。代わりに、日本人選手も多くプレーしているラトビアリーグやタイ・プレミアリーグ、あるいは独自のサッカー文化を築きつつあるアメリカMLS(メジャーリーグサッカー)や中国スーパーリーグなど、日本人にはあまり馴染みのないサッカーの世界が紹介されている。もちろん世界のプロリーグのみならず、日本の高校サッカーや女子サッカー、ブラインドサッカー、自衛隊サッカー、さらには世界のサッカーマスコット事情まで、文字通り世界中のありとあらゆるユニークなサッカー風景が取り上げられている。

 写真を眺めているだけでも充分に面白いが、世界中のサッカーを見てきた著者ならではの考察も面白い。たとえば「サッカー不毛の地」アメリカで独自の発展を遂げているMLSを取材していると、アメリカにおけるサッカーに“寿司”との共通点を見出すという。今日のアメリカにおいて“Sushi”は極めてポピュラーな食事だが、たとえばアボカドを使ったカリフォルニア・ロールや、クリームチーズを入れたフィラデルフィア・ロールなど、日本人的には「こんなの寿司じゃねえ!」と言いたくなるようなものが多い。アメリカのサッカーも同じように、たとえばかつてはアメリカンフットボールやバスケットボールのようなカウントダウンシステム(ロスタイムなしで試合時間を計る方式)を導入していた時代があるなど、本場ヨーロッパの“フットボール”ファンとしては「こんなのサッカーじゃねえ!」と思ってしまう要素が多いという。もっとも「こんなの~じゃない!」と頭から否定するのは一種の思考停止であり、まずは触れてみることが異文化を理解する上では大切というのが著者の考えだ。

 「どれだけ技術的なレベルやニュースバリューの差はあっても、それらは等しくフットボールという競技であり、そこで得られる感動や失意といったものに、さほどの大きな違いはない」と著者。日本代表は敗れてしまったが、サッカーが持つ“勝ち負け”を超えた多様な魅力を、本書と共に楽しんでみてはいかがだろうか。

文=内野宗治

ダ・ヴィンチニュース

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