「大気の状態が不安定」「集中豪雨」…、空から解明する天気のメカニズム

ダ・ヴィンチニュース / 2014年7月18日 11時30分

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『雲の中では何が起こっているのか』(荒木健太郎/ベレ出版)

 先日、東京都西部にて局地的に雹が降ったとニュースで話題になっていた。その他にもここ数年は「異常気象」だとされる天気が続いているようにみえるが、空の上ではいったい何が起きているのか。雲研究者の荒木健太郎さんの著書『雲の中では何が起こっているのか』(ベレ出版)をたよりに、気象にまつわる話題をいくつか紹介していきたい。

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■時折耳にする「大気の状態が不安定」とは何か?

 天気予報では時折「大気の状態が不安定」という言葉を聞く。先日、東京都西部で降った雹のニュースでも使われていたが、このとき、空の上では何が起きているのか。同書では、空気の塊である「パーセル」の浮き沈みが関係していると説明されている。

 上空に行けば行くほど気圧や気温は低くなるが、パーセルの温度が周囲の気温と比べて高い場合は、空気中の水蒸気を取り込みながら膨張していく。この現象を「断熱膨張」と呼び、発達したパーセルが上昇し続ける状態を「不安定」と呼ぶ。

 対して、周囲の気温と比べてパーセルの温度が低い場合には「復元力」により元の高度に戻ろうとするため「安定」と呼ばれ、パーセルと周囲の空気が同じ温度であれば「中立」となる。


■「集中豪雨」にみられる上空のメカニズム

 ここ最近はとりわけ「集中豪雨」という言葉をよく聞くようになった。河川の氾濫や土砂崩れなどを伴い、ともすれば甚大な被害を招きかねない気象災害のひとつでもある。
 集中豪雨に明確な数値としての基準はないが、同書では「狭い範囲で数時間にわたって強い雨が降り、100~数百ミリの雨が降ること」だと定義付けている。その上で、集中豪雨の原因となりうるのが上空で発生する2通りの「対流システム」である。

 ひとつは「バックビルディング型」と呼ばれる、上空でみられる空気の流れだ。記憶にあたらしいところでは、2012年に発生した九州北部豪雨でもみられたとされる。この場合、上空では中層から下層にかけて同じ方向をめざす風が流れている。降雨を伴う「対流セル」も同じ方向に流されるが、風上側の対流セルから放出される熱が下層風と結びつくことで新たな対流セルが生まれる。したがって、動きの鈍い雨雲が発生することになる。

 そして、集中豪雨に伴うもうひとつの空気の流れが「バックアンドサイドビルディング型」と呼ばれるものだ。この場合には、上空の中層と下層に流れる風が直角にぶつかっている。中層の風上では対流セルの発生点がみられるほか、下層風の風上から放出される熱と対流セルがぶつかることで、新たに降雨を伴う雲が発生する。そのため、対流セルが次々と生み出されることにより集中豪雨が発生する。

 同書では他にも、排ガスなどによる「気象改変」の仕組みなども解説されているが、地球にいったい何が起きているのか、空や雲からそのメカニズムを理解してみるのも新たな発見となるかもしれない。

文=カネコシュウヘイ

ダ・ヴィンチニュース

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