【街の書店を救え!】レコード店、喫茶店…、生き残りの方法を人気店に探る

ダ・ヴィンチニュース / 2014年7月20日 5時50分

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『街を変える小さな店 京都のはしっこ、個人店に学ぶこれからの商いのかたち。』(堀部篤史/京阪神Lマガジン)

「あそこの本屋さん潰れたんだ……」

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 街を歩いてはそんなことを呟く機会が増えている。商店街にあるような小さな書店は減っていき、残るは大型書店やオンラインショップのみだと思うと、どれだけ便利でも寂しくもあり哀しくもある。

 京都の繁華街から離れた一乗寺に店を構える人気書店「恵文社一乗寺店」を知っているだろうか? 新刊だけでなく、古書や洋書、自費出版物までを取り扱う。その他にもレンタルギャラリーや生活雑貨なども売っている個性的な店だ。

 『街を変える小さな店 京都のはしっこ、個人店に学ぶこれからの商いのかたち。』(堀部篤史/京阪神Lマガジン)では、「恵文社一乗寺店」の店長・堀部篤史氏が、京都で長年営業している小さな人気店をいくつか紹介し、そこから書店の生き残りの道を探っている。書店が生き残るべく必要なこととは何だろう。


■店が客を育てる
「レコードを熱心に買いに行くうちに、輸入盤の卸の人と知り合い、自然とレコードショップの仕事のノウハウが身について行ったんです」と語るのは中古盤のレコードショップを営む三条木屋町の「WORKSHOP records」の苗村さん。

 昔は多くのレコードショップで店主と客とのやりとりがあった。自分の好みを知ってもらい、おすすめの作品を紹介してもらう。視聴の際のマナーやレコードの扱い方などを教えてもらう。など、客と店を超えた付き合い方があった。店に通う理由は買い物のためだけではなく、店主の膨大な知識や経験からなにかを学びたいという信頼感があったからだ。

 堀部氏は言う。目先の売り上げだけではなく、お客さんに知識や情報を与えることによって、小さくても確実な購買層が生まれる。現在の本屋のシステムでは購買側は一人の客としてではなく、POSシステムによってデータとして認識されている。

 店主に信頼を置くこと。本を手に入れるだけでなく、知識も手に入れること。小さな書店の生き残りには必要なことかもしれない。


■合理性を求めてはいけない
「“食べログ”でオススメされていたメニューばかり注文しちゃうみたいに、はじめから店を自分の思い通りにしようとするんじゃなくて、何度も訪れることによって、初めて信頼関係って築けるんじゃないかな」と語るのは河原町三条で喫茶店「六曜社」を営む奥野さん。

 最近は「食べログ」や「ぐるなび」などをチェックして、なにかのついでにではなく喫茶店そのものを目指す人が多いと奥野さんは言う。

 喫茶店は目的としての場所ではなく、会社帰りなどにふらりと立ち寄れる方が良い。ジャズ喫茶、深夜喫茶、ジャズバーなど、昔は喫茶店や酒場はそこに集う人が主役であり、店自体は背景であり、街の延長であった。合理性ばかりを追求して喫茶店に通うと街の延長としての人と人との集いの場が失われてしまう。コミュニティの中心として欠かせないマスターの存在も薄れていくばかりで信頼関係も築けない。


 それは小さな書店にも当てはまる。合理性ばかりを追求していて文化としての側面を失ってしまうと、長く続けることは難しい。合理性だけで考えると小さな書店は大型ショップやオンラインショップに敵わないのだから。

 便利で品揃えが良いだけが良い書店ではない。長年営業している小さなお店から学ぶことは多いだろう。本書を読んで、今一度、街の書店の在り方について考えてみてほしい。

文=舟崎泉美

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