中村うさぎが「欲張りな女」を主人公に描いた渾身の1冊

ダ・ヴィンチニュース / 2014年8月4日 12時20分

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『プロポーズはいらない』(中村うさぎ/ゴマブックス株式会社)

 中村うさぎさんの『ショッピングの女王』、昔読んでいました。極端な性癖に多少の嫌悪感を抱きながらも、女性の奥深い物欲とか、その更に奥の不安などが強烈な印象を残すエッセイでしたが、今回は初めて彼女の小説『プロポーズはいらない』を読みます。

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 主人公は29歳、バリバリのキャリアウーマン。結婚や出産、仕事と恋愛、ありきたりだけど万人に共通のテーマの大波小波を主人公が泳ぎわけてゆく、という展開です。頑張っている独身女子主人公にも共感、すっかり幸せ太りしてしまっているその妹にも共感、バリキャリの娘を専業主婦の立場でしか見られない母親の孤独にも共感。友達の弟とあっというまにデキてしまう意外性も、振られたオトコの結婚式に出てしまう勇気も、実は現実味に満ちていて、アラサー女子トークをまとめたみたいな軽い流れであっという間に読了。

 ご本人が強烈な経験と書き物を残して来た人だけに、小説からは何かあっけないぐらいの「万人味」を感じます。女の世界の深淵まで見て来た彼女が訴えたい、「仕事って」「女って」「人生って」という縮図を小説という表現形式でまとめたところに、彼女の生真面目さを見る気がします。設定をして、登場人物をかき分けた、というよりも著者の中にあるすべての女的要素を人物に当てはめていったという感。エッセイや対談ではどぎつい彼女の表現が、小説ではどことなく違う人物のよう。重病疾患のあとも書き続けているという彼女の筆の行方を追ってみたくなりました。主人公と同年代の悩める女性の背中を押してくれる1冊。

文=ワイコブ

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