ゲイの同性婚カップルがカミングアウトし、夫夫円満ライフを手に入れるまで【いくつもの障害を乗り越えて「見えない存在」から「見える存在」へ】

ダ・ヴィンチニュース / 2014年8月28日 11時30分

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『夫夫円満』(パトリック・ジョゼフ・リネハン、エマーソン・カネグスケ著/東洋経済新報社)

 今を去ること10年ほど前、ふとした思いつきで、男友達を連れ新宿2丁目のゲイバーに飲みに行ったことがある。厨房のバイトをしていた別の友人に頼み、前もって連絡してから行ったので、ママも一応私の話し相手をしてくれた。しかし、ひとりじゃ行きにくいからと同伴を頼んだ男友達とのほうが、明らかにママのトークも弾むわけで、女性である私はしばし「見えない存在」となり、若干の居心地の悪さを抱えつつ、ひとり、ちびちび飲んでいたのが思い出される。

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 あれから時は流れ、今はLGBT(レズビアン、ゲイ、バイ・セクシャル〈両性愛者〉、トランスジェンダー〈性同一性障害〉、それぞれの頭文字)という性的マイノリティの総称が広まりつつある。芸能界ではオネエ系タレントのポジションが定着し、カミングアウトする著名人も増え、それにつれて、日本におけるLGBTに対する人々の意識や空気も、表向きにはゆるやかに変化してきたように感じられる。

 『夫夫円満』(パトリック・ジョゼフ・リネハン、エマーソン・カネグスケ著/東洋経済新報社)の主人公は、愛し合う2人の男性。アメリカ人のパトリック(大阪・神戸アメリカ総領事館 総領事・表紙人物画像右)と、日系ブラジル人のエマーソン(元ブラジル空軍 航空管制官・表紙人物画像左)というひと組のゲイのカップルが出会ってから同性婚に至るまで、そして日本における彼らの“夫夫生活”が綴られた本である。

 本書はパトリックが語る第1部と、エマーソン目線で語られる第2部に加え、LGBTについての理解のための第3部も設けられている。まるで、ひと昔前のラブストーリーのように純粋なふたりの恋愛模様。途中何度かうるりときた。

 ふたりの出会いの場は、日韓ワールドカップ観戦に沸く、新宿2丁目のとあるパブ。パトリックはブラジルの勝利にはしゃぐ当時29歳のエマーソンと出会った瞬間、「生涯の伴侶となるべき人を見つけた」と、パルピテーション(恋のときめき)を感じてしまう。いわゆる、ひと目惚れだ。

 しかし、当のエマーソンは、パトリックの隣で飲んでいた30がらみのイカした男性が気になっていた。後日、サッカー観戦のため誰かを誘おうとたくさんの電話番号のメモから手当たり次第にかけていき、気になった彼だと思ってひきあてたのが、ついでに連絡先をもらった中年アメリカ人のパトリックだったのだ。電話を受けたパトリックは興奮し、サッカー好きでもないのにふたつ返事でOK。ますます運命を感じてしまう。

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