『思い出のマー二ー』美術監督はいかにしてジブリの世界を創りあげたのか?

ダ・ヴィンチニュース / 2014年8月30日 5時50分

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『ジブリの世界を創る』(種田陽平/KADOKAWA 角川書店)

「美術監督」という職業を聞いて、何をどんな風に扱っているのか、わかる人は少ないはず。「美術」とついているから多分絵とか映像とかと関係があって、「監督」だから、大勢をまとめている仕事なのかなぁというぐらいの認識しかありませんでしたが、霧が晴れるようにナゾが解け理解できる1冊。

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 映画を作るにも、展覧会を作るにも、その全体のビジョンをまず想像し、創造することが必要なわけで、具体的には、例えば映画なら場面のセットを作り上げるのも美術監督の仕事。そこには時代考証のリサーチあり、演出の効果の検討あり、予算との擦り合わせあり、大工さんたちも統率しなければならないし、セットやテーマによって様々な職人とプロが現場に入り乱れる。全くもってマルチでフレキシブルな頭と身体がないとできないような仕事。映画の場合なら、俳優が入って、「アクション!」となったときに、美術監督の仕事は一段落するのだそうです。

 種田氏は、三谷幸喜や岩井俊二といった日本の映画監督のみならず、クエンティン·タランティーノや、チャン·イーモウなど海外の監督からも信頼されているプロ中のプロ。『スワロウテイル』『キル・ビルvol.1』『THE 有頂天ホテル』など実写映画のキャリアの長い著者がいかにジブリというアニメーションの中で自らの世界を最大限に表現しえたか、が詳細にいってわかるという、エキサイティングな内容です。

 美術監督を務めた『思い出のマーニー』はもとはイギリスが舞台。それを日本に舞台を移し、いかに「信じられる」世界を作り上げるか。実際のロケハンから建物ひとつ、窓ひとつにこだわるその執念には脱帽です。そして、頭の中の世界を現実と引き合わせ、それをまた2次元のファンタジーの世界に戻して表現する、という過程にしびれまくりました。本当に面白い! 自由な発想と、あやゆるレベルでのコントロールと、そしてチームで働く際のフレキシビリティ。なにより仕事をワクワク楽しんでいる著者の筆致に、一緒に興奮しながら読了。これからクリエイティブな世界へ入りたい! という人には必須の1冊です!

文=ワイコブ

ダ・ヴィンチニュース

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