渋谷都市伝説! 人を異世界にさらう黒犬の正体とは?

ダ・ヴィンチニュース / 2014年9月6日 5時50分

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『道玄坂怪異 サブライン707』(木原浩勝、松田朱夏:著、おきる:イラスト、インターグロー:発行/主婦の友社:発売)

 ネオンできらめく街の人ごみの中で、ひとりぽつんとたたずんでいると、自分がこのまま誰にも気づかれぬうちに消えていってしまうような気がしてくる。人は明るい場所よりも真っ暗闇の方がそんな妄想に取りつかれやすいのだろうが、本当はいつ、どんな時でも、危険は迫っているのかもしれない。現代は、四六時中、「逢魔が時」。昼も夜も眠らない街が増え、闇が失われたとて、明るい街であるが故に感じる恐怖がある。魑魅魍魎は人間たちを陥れようと、虎視眈々とその時を狙っているのではないか。この世界には、人を異世界へといざなう魔物が未だに多く潜んでいるに違いない。

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 『道玄坂怪異 サブライン707』(おきる:イラスト、インターグロー:発行/主婦の友社:発売)は、怪談・都市伝説の第一人者、木原浩勝が松田朱夏と共に初めて手がけたキャラクターノベル第1弾だ。2014年9月に主婦の友社から創刊された「すこし不思議文庫」の中の1冊で、舞台は大都会・渋谷。1日に280万人もの人が行き交うこの街で起こる怪奇現象に、主人公たちはどう立ち向かっていくのだろう。

 主人公は、渋谷育ちの高校生・渦潮二里。小学生の時に兄・万里が失踪して以来、彼は時折、額に謎の文字が浮かぶ人間を見かけるようになっていた。ある日、二里は幼なじみのナナとともに、ゴスロリ少女・五央梨を救った。彼女は黒い大きな犬につけ回されていたという。不気味なその犬は多くの人が行き交う渋谷で一心不乱に五央梨だけを追ってきたのだそうだ。ナナが調べてみると、道玄坂や宮益坂など渋谷に現れる黒い犬に捕まった者は、必ず謎の失踪を遂げる、という都市伝説が話題となっていた。そして、それを裏付けるかのように、渋谷では月にひとりずつ謎の失踪者が相次いでいるというのだった。万里が行方不明になった原因もその犬にあるのではないか。ナナは犬の正体解明に躍起になるが、二里は消極的。なぜなら、二里の目には、犬の額にも白く光る謎の記号が見えていたからだった。彼らは犬の正体を突き止めることができるのか。兄・万里の行方を掴めるのだろうか。

 若者にとって身近な場所・渋谷を舞台としているためだろうか。この物語の怪奇現象がリアリティあるものに思われた。作品内のすべての光景が眼前に浮かぶ。人でごった返したハチ公前やスクランブル交差点やけばけばしい看板に彩られた細い坂道に怪しい店が立ち並ぶ「しぶや百軒店」、その先に突然現れる赤い鳥居の「千代田稲荷」など、若者ならば、すでに1度は「聖地巡礼」している土地が舞台になっているため、現実と虚構の世界が交わるこの物語の怪奇現象には余計に背筋が寒くなる。登場人物たちが話題とする話も身近だ。東横線と地下鉄副都心線の直通運転開始や大雪の日にハチ公の隣に建てられたハチ公と同じ見た目の雪像、渋谷界隈で有名な都市伝説や実験的に行なわれた振動力発電…。そんな近年話題になった渋谷での出来事とともに、昔から変わらぬ渋谷の地形やその街のかつての姿が複雑に絡み合って怪奇現象は引き起こされていく。なぜこんなことが巻き起こるのだろうか。思わず、続きが気になり、ページをめくる手にも力がこめられる。

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