テーマは“燻製”! 人気の「グルメマンガ」に新顔『いぶり暮らし』が登場!

ダ・ヴィンチニュース / 2014年9月7日 5時50分

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『いぶり暮らし』(大島千春/徳間書店)

 アクション、ラブコメ、スポ根にファンタジー…。マンガのジャンルはもはや数えきれないほどあるけれど、そのなかでも、近年成長著しい(?)ともいえるのが、「グルメマンガ」じゃないだろうか。『花のズボラ飯』(久住昌之、水沢悦子/秋田書店)、『孤独のグルメ』(久住 昌之、谷口 ジロー/扶桑社)『きのう何食べた?』(よしながふみ/講談社)などを筆頭に、“グルメ”に一風変わったエッセンスを加えた作品が続々と登場しているからだ。

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 一昔前のグルメマンガといえば、料理で頂点を目指す主人公が、さまざまなライバルたちと料理対決を繰り広げる…というのがお決まりのパターンだった。ところが最近のものはというと、プロの料理人などではない主人公が、日々の生活のなかで単純に美味しいものを楽しむ、というのが主流のよう。そもそも“料理”というものは、我々が日常生活を送るうえで切り離せないもの。みんな毎日なにかを調理し、食べている。その行為自体は決して派手なものではないはず(もちろん、料理を“芸術”に昇華させているプロの料理人の方々もいますが)。ゆえに、派手なグルメバトルものではなく、日常系グルメな作品により多くの共感が集まり、次第にそれがジャンルのメインストリームになっていったのも頷けるだろう。

 そして、そんな新しいグルメマンガの流れを汲んだ作品がまたひとつ登場した。それが『いぶり暮らし』(大島千春/徳間書店)だ。

 本作は、東京の片隅で暮らすカフェの店長 “よりちゃん”と、フリーターの“巡(めぐる)”の同棲生活を描いたマンガ。一緒に暮らし始めて3年になる2人は、仕事(とバイト)の都合上、日曜日しか休みが合わない。そんな週に1回の休みを、2人はご馳走を作って満喫する。そして、その食卓を彩るのが“燻製”。そう、この作品は、ほのぼのと暮らすカップルが“燻製”の美味しさにハマるさまを描いたグルメマンガなのだ。

 燻製というと、大人の男が小洒落たバーで注文するチーズやベーコン、が頭に浮かぶ(のは、ぼくだけですかね?)。まあ、とにかくよくわからないけれど、なんとなくオシャレなもの、なイメージ。ところが、本作では、家庭で簡単に作れるさまざまな燻製が登場する。割ってみると黄身がトロトロの半熟「燻製たまご」や、ぷりぷりに仕上がる「燻製たらこ」、短い燻製時間でも作れる「簡易ベーコン」などなど…。

 そして、よりちゃんと巡の2人は“燻製ツウ”らしく、それらをそのまま食べずに、一手間かける。鶏の照り焼きに「燻製たまご」を使ったタルタルソースをかけ、「燻製たらこ」はクリームチーズと合わせてディップに。このように手間を惜しまずに、豊かな燻製グルメを楽しむ2人の暮らしは、地味だけれど、とても幸せそうだ。

 また、一番驚かされたのがカレーに使う「ひき肉」を燻製にした場面。においの強いカレーに入れてしまったら、せっかく燻製にしたミンチの香りが飛んでしまいそうなものだが、2人によれば「居るね、カレーの中に」「居る居る 燻製の香りが!」とのこと。カレーのにおいと燻製の香りがミックスされることで、両方が活かされた美味しさになるのだそう。これはぜひ試してみたい。

 読んでいると「燻製、やってみたい!」という気持ちがムクムクと頭をもたげるのだが、そんな読者心を意識してか、燻製初心者に向けた豆知識も収録されており、「はじめての燻製」的な側面も持った作品となっている。グルメ本としても、ハウツー本としても楽しめるのはありがたいところ。これからの行楽シーズンに向けて読んでおきたい、新しい「グルメマンガ」の誕生ですかね!

文=前田レゴ

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