少しずつ感じる秋の気配 散歩に誘う文庫を紹介

ダ・ヴィンチニュース / 2014年9月12日 11時50分

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『散歩もの』(久住昌之:作、谷口ジロー:画/扶桑社)

 「お散歩番組」が人気だ。亡き地井武男さんの『ちい散歩』をはじめ、さまぁ~ず、有吉広行、国分太一など人気芸能人がぶらぶらと街を歩く番組は、根強い支持を得ている。いきあたりばったりの出会いを楽しむ面白さもあれば、自分とは異なる“目”を通して馴染の町を再発見する、という驚きもあるだろう。『ダ・ヴィンチ』10月号では、作家たちの眼差しで街を歩く、「お散歩文庫」を特集している。

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 いつもの帰り道、一本手前の道で曲がってみる。打ち合わせ先で、いつもと違う店でランチをしてみる。早起きした日は、二度寝しないでちょっとぶらぶら歩いてみる……。ささやかだけど、あたたかい、ほっこりできる時間を見つけられるのが“散歩”だ。秋の風に吹かれて、自分だけの街を歩いてみるのもいいかもしれない。


■『宮部みゆきの江戸怪談散歩』 
宮部みゆき/責任編集 
KADOKAWA 中経出版 新人物文庫 657円(税別)
 『三島屋変調百物語』の舞台になった上野池之端から日本橋の紹介にはじまり、『幻色江戸ごよみ』の根津神社、『あやし』の六間堀跡、『あかんべえ』の一ツ目橋をめぐり、本所深川七不思議を歩いたり。小説と現実世界を行き来する怪談散策。北村薫と繰り広げる怪異についての特別対談もおもしろい!

■『東京文芸散歩』
坂崎重盛 角川文庫 552円(税別)
 森鷗外、江戸川乱歩、谷崎潤一郎、芥川龍之介、内田百閒、太宰治らが、そぞろ歩いたり、小説の舞台にした東京の町を紹介する文学散歩である。町を軸にし、著者自らその町を歩き解説し、各作家がつむいだ小説を浮かび上がらせる。文芸好きには堪らない文庫。名所、名店のマップ付き。

■『散歩もの』
久住昌之/作 谷口ジロー/画 扶桑社文庫 552円(税別)
 文具メーカーに勤める上野原譲二が、勤務中や休日に歩いた都内の風景が描かれている。意味なく歩くことを楽しんだ結果、予期せぬこととの出会いが生まれ、話が広がるエッセイ風コミック。「原作うらばなし」には、久住が実際に歩いたときのエピソードがあるので、ここから読んでもまた楽しい。

■『東京カフェ散歩 観光と日常』
川口葉子 祥伝社黄金文庫 838円(税別)
 「コーヒーを飲みながら、好きなカフェの窓から東京を眺めていると、なにか聖なるものの恩寵のように美しい瞬間が降ってくることがある」。そう語る著者がつづる、観光気分で出かけた、または日常的に利用するカフェ96店を美しい文章と、やわらかな写真で紹介したエッセイである。

■『板谷遠足』
ゲッツ板谷 角川文庫 600円(税別)
 ゲッツ板谷が、『週刊SPA!』で連載していた「1万2000円の予算内で楽しそうな場所へ遊びに行く」という企画をまとめたもの。訪れた場所は牛久大仏、ガマランド、黒部ダム、全国かかし祭、『八つ墓村』のロケ地と、せっそうがない。でも大人の遠足だけに、くだらないからこそ意味がある、おもしろい!!


 同誌ではほかにも、『おさんぽ美術館 ぶらりとめぐる アート・雑貨・カフェ』の著者・杉浦さやかのインタビューや、読むだけで海外の街並みを散歩している気分が味わえる文庫などを多数紹介している。


(『ダ・ヴィンチ』10月号「文庫ダ・ヴィンチ」 文=大久保寛子 より)

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