横浜Fマリノスサポーターも… なぜサッカーには人種差別がつきものなのか

ダ・ヴィンチニュース / 2014年9月16日 12時10分

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『サッカーと人種差別』(陣野俊史/文藝春秋)

 先月開催されたJリーグの試合で、横浜F・マリノスのサポーターの1人がバナナを振って、対戦相手の外国人選手を挑発するという事件が起こった。有色人種(主に黒人)を「猿」と貶める、愚かな人種差別行為だ。

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 今年の3月には、「JAPANESE ONLY」の横断幕がスタジアムに掲げられた差別問題で、浦和レッズに無観客試合という重い処分が下ったばかり。観客のいないスタジアムに立つ選手たちの悲壮な表情、レッズの主将・阿部勇樹選手が読み上げた差別撲滅宣言を、Jリーグのサポーターは重く受け止めたはずだ。それなのに、なぜ、愚行が繰り返されるのか?

 『サッカーと人種差別』(文藝春秋)の著者・陣野俊史氏は「サッカーはスタジアムだけで完結していない。その社会の持つ空気を正確に映し出す」と、差別の原因を見る。

 サッカーの世界には古くから、人種差別、女性蔑視、外国人嫌悪などの様々な差別が存在する。階級闘争や民族闘争を背景に発足したクラブチームが多いことも差別を生みやすい環境といえる。

 長い差別の歴史に大きな変化をもたらしたのは1995年の「ボスマン判決」。契約満了後のサッカー選手の移籍の自由を認めると同時に、EU圏内のクラブは、EU加盟国国籍の選手を外国籍扱いにできないとした判決だ。

 その結果、これまでの外国人枠が空き、南米やアフリカ、アジアから選手が流入し、欧州サッカーは国際化が進んだ。それは同時に、人種差別問題の拡大にもつながった。

 世界的に有名な選手たちも、人種差別に晒された。

 元ブラジル代表ロベルト・カルロス、カメルーン代表サミュエル・エトー、イタリア代表バロテッリ…外国人嫌悪(ゼノフォビア)や差別主義者(レイシスト)のウルトラス(フーリガン集団)から、バナナを投げられ、差別的野次を飛ばされた。

 選手間で、相手を侮蔑するジェスチャーや、汚い差別的な罵声を浴びせる場面も、度々発生している。

 もちろん、FIFAやUEFA、各国サッカー協会やクラブは、差別に対し厳しい処罰を与え、その都度、人々は差別撲滅を思う。だが、差別はなくならない。

 2013年1月3日。フレンドリーマッチを戦っていたイタリア・ACミラン所属のケヴィン・プリンス・ボアテングは、突然ボールを“手”で拾い上げると、スタンドの観客に向かって鋭いボールを蹴り込んだ。ガーナ出身の黒人選手に対し、差別ソングを歌い続けた観客たちへの抗議だった。ボアテングが背番号10を脱ぎ、ピッチを去ると、仲間の選手たちも後に続いた。ミラニスタからは拍手が起こった。

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