北斎の浮世絵にも影響されていた! 姪ソフィアが語るトーベ・ヤンソンの素顔

ダ・ヴィンチニュース / 2014年10月13日 5時50分

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『ダ・ヴィンチ』11月号(KADOKAWA メディアファクトリー)

 アニメ、小説、キャラクターグッズ……子供から大人まで、日本中の人々を魅了し続けるムーミン。その生みの親・トーベ・ヤンソンの姪であり、ムーミンキャラクターズ社のクリエイティブディレクター兼会長を務めるソフィア・ヤンソン。『ダ・ヴィンチ』11月号では、生前、トーベと親しく交流していたソフィアさんが、トーベ・ヤンソンの素顔の魅力を語っている。

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「トーベは楽しい人で、私を決して子ども扱いしない特別な大人でした。私は小さな子どもで、トーベは大人なのに、まったく対等に扱ってくれました。彼女には、私という〈人間〉が見えていたのだと思います。彼女は誰に対してもそうでした。ありのままのその人を見抜いて、ひとりひとり、個性を持った人間として接していたのです」

 ふたりの関係は、まるで『少女ソフィアの夏』に描かれたおばあさんと孫のソフィアの年齢差を超えた対等な関係を思わせるものだったらしい。
「エドワード・ゴーリーはご存じですか? トーベは、よく彼の絵本を見せてくれました。祖母もよく怖い話を聞かせてくれたのですが、トーベは子どもたちが怖い話を好きなのは、自分が普段いる場所の安心を確認できるからだと思っていたんです。恐怖が安心を思い起こさせてくれるように、自分で絵を描く時も、反対のものを対比して描写することが好きでした。たとえば冬の夜の暗さと雪の明るさを描くことで冬の景色を表現することができる。対比させることで中間にあるものを鮮明にできると考えていたのです」

 日本でもトーベの原画展が巡回中だったので、気に入っている絵はあるか、訊ねてみた。

「タンペレ美術館には2000点も原画があるし、他にもたくさんのスケッチがあるので、一枚だけ選ぶのは難しいですね。でも……そうですね。たとえば、これはとても好きな絵です」

 それは『ムーミン谷の十一月』の一場面を描いたものだった。

「手前のスナフキンたちは暗い服を着て、落ち着いて座っていますが、奥のフィリフヨンカは明るい色の服を着て、慌てた様子です。色も素晴らしいですが、対比があることで何かが起こっているとわかるし、物語を感じさせますよね。それから、これは北斎の浮世絵に影響された一枚です。トーベは日本の美術も好きだったんですよ」

 言われてみれば、なるほど、『富嶽三十六景』のあの波頭のよう。『ムーミンパパの思い出』のパパとママの運命的な出会いを描いた絵が、まさか北斎に影響されていたなんて!

「トーベの母シグネはスウェ―デン出身でしたから、幼いトーベにスウェーデンの絵本作家の作品をたくさん見せました。スウェーデンにはトロールの絵本がとても多いのです。ジョン・バウアーという美しい絵を描く絵本作家がいます。とても暗い絵で、彼自身、若くして湖に落ちて死ぬという悲劇的な最期を迎えています。大きな大きな森の中にいる小さなトロールの絵が特徴的で、トーベは彼の影響をとても受けています」

 同誌では、インタビュー中に登場する挿画も掲載されているほか、「小さな怖がり屋を勇気づけるために物語を描いた」というトーベの物語への想いなど、その作品の奥にある世界を思い出と共に語っている。


構成・文=瀧晴巳/『ダ・ヴィンチ』11月号「大人になるためのムーミン特集」より

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