貞操観念は似る? 似ない? 研究が見出した双子の実態

ダ・ヴィンチニュース / 2014年10月25日 5時50分

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『双子の遺伝子 「エピジェネティクス」が2人の運命を分ける』(ティム・スペクター:著、野中香方子:訳/ダイヤモンド社)

 「蛙の子は蛙」。所詮、「鳶が鷹を生む」ことなどあり得ない。遺伝が自分の人生を決めてしまうように思えて何をやってもやるせない。そんな悲観的に世の中を見る人は少数派かもしれないが、才能、嗜好、価値観、病気など遺伝がどの程度自分の人生に影響を与えるのか気になる人は少なくないだろう。

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 ロンドン大学キングス・カレッジ遺伝疫学教授のティム・スペクター氏は『双子の遺伝子 「エピジェネティクス」が2人の運命を分ける』(野中香方子:訳/ダイヤモンド社)の中で、人間の性格や個性、能力、嗜好は、遺伝子によって完全に決まるものではないことを示唆している。1920年代から多くの科学者たちは、先天的な形質と後天的な形質を見極める恰好の研究材料として、遺伝子が100%同じ一卵性双生児に注目してきた。遺伝子は環境に影響されないというのが定説となっていたというが、近年、これが誤りであることが分かってきたとスペクター氏は語る。DNA配列に変化は起こらなくても、遺伝子の機能が変化することがある。エピジェネティクス<後成説(エピジェネティクス)+遺伝学(ジェネティクス)の意>と呼ばれるメカニズムによって、隠れた特徴が現れることがあるのだ。スペクター氏は同じ遺伝子を持っているはずなのに、全く異なる人生を歩んだ何組もの一卵性双生児を例として挙げている。


■ゲイとストレートの双子
 ナイジェルとマークはそっくりな見た目の一卵性双生児。スポーツが苦手で音楽や芸術が好きというように趣味は似ている彼らだったが、パートナー選びに関しては全く異なっていた。ナイジェルは、家族に自らが同性愛者だと告白。一方で、マークは、奥手で、初めて女性と付き合うようになったのは、20歳を過ぎてからだったが、5年前に結婚し、娘をひとりもうけ、幸せに暮らしている。彼らの母親は大家族の生まれだが、彼らの親戚には同性愛者はいないようだ。スペクター氏が研究した事例では、一卵性双生児は、一方がゲイでも、およそ70%の確率で他方はゲイにならないことがわかったそうだ。このことは、ゲイになる原因が遺伝子だけではないことを物語っているといえるだろう。

■体重差27キロの双子
 体重、BMI、体脂肪率のどれを見ても、肥満は遺伝する。推定される遺伝率は60%~70%。一卵性双生児のほとんどは、体重の差は数キロ以内で、それは年をとっても変わらないものが多かった。だが、一方で同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でありながら、体重の差が大きい双子もいる。たとえば、ドロシーとキャロルは一卵性双生児で、身長はともに173センチ。40代の頃、キャロルが更年期障害となり、体重が急増していた時期もあるが、栄養士のアドバイス通りの食生活に変えた結果、体重が60キロまで元に戻り、以降、その体重を維持している。一方でドロシーは、同じことを試す必要を感じておらず、体重は87キロ。一卵性双生児でありながら、ドロシーの方が27キロも重い。スペクター氏によれば、肥満遺伝子を持っていたとしても、食生活に気をつけたり、身体をよく動かしたりすれば、遺伝子のスイッチをオフにし、その影響を減らすことができる。ドロシーとキャロル姉妹の違いはそこに生じたと考えられる。

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