食べ放題、保険、ローン… 行動経済学が解き明かす“人が知らないうちに損をしてしまう理由”

ダ・ヴィンチニュース / 2014年11月24日 11時0分

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『その損の9割は避けられる “後悔しない選択”ができる行動経済学』(大江英樹/三笠書房)

 突然だが、私は損をするのが嫌いだ。なので日々、なるべく損をしないように生きているつもりである。電化製品を買うなら店頭で現物を確認した後にインターネットで最安値を検索するし、車は割引会員になっている店で給油している。ポイントカードもたくさん持っている。

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 先日、夫と仕事帰りに待ち合わせて焼肉を食べに行った。テーブル席に通されてメニューを開くと、オーダー式の食べ放題メニューがある。「お肉をたくさん食べれば食べ放題のほうがお得かも?」という話になり、結局、2人で食べ放題コースを選んだ。帰宅途中、ショッピングモールに立ち寄ることに。駐車場は「1時間300円」だが、「2000円以上の会計で2時間まで無料」なので、800円の月刊誌と一緒に消耗品を1200円分購入。これで駐車料金は無料だ。

 私が経験したこれらの行動は、誰でも多かれ少なかれ経験したことがあるはず。その根底にはやはり“損したくない”という思いがある。

 「食べ放題」は、そもそも客が元を取れるシステムであれば店がつぶれるはずだし、駐車料金だって、無料にするために買った消耗品はもちろん後々使えるけれど、その場では財布からお金が余分に出ているだけだ。しかしそうしないと損をしてしまうような気がしていた。それはなぜか?

 『その損の9割は避けられる “後悔しない選択”ができる行動経済学』(大江英樹/三笠書房)によるとその理由は、人が「得した喜び」よりも「損した苦しみ」を2倍以上強烈に感じるからなのだという。そのため人間は日常的に不合理な選択をし、結果として損をしてしまうというのだ。

 著者の大江英樹氏は、日本経済新聞電子版で人気のコラム「投資賢者の心理学」を連載する行動経済学の専門家。同コラムでは主に投資初心者が陥って失敗しがちな心のワナを取り上げ、賢い投資家になる道を探っているが、本著には投資の話はほとんど出てこない。むしろ日常生活に直結する身近な例を挙げて、行動経済学の観点から“どんな選択肢を選べば損をしないか?”を、分かりやすくひも解いている。

 それによると、私たちは多くの場合金額そのものの絶対値よりも、「100円を拾う喜びより、100円を落としたショックの方が大きい」という相対的な感覚で選択をしているのだという。そこには“勘定”よりも“感情”を優先しがちな人間の心理的な問題が隠されている。食べ放題について言えば、そもそも元を取ること自体が普通の人には無理なのに、心理的なワナにまんまとはまって“相手の思うツボ”になっている。

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