瀬戸康史「いかに芝居をしないか。自分のすべてを出しきるつもりで臨みます」

ダ・ヴィンチニュース / 2015年1月8日 11時30分

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『潮騒』(三島由紀夫/新潮社)

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、俳優の瀬戸康史さん。「これまでにない役、世界観への挑戦」だと語る、舞台『マーキュリー・ファー Mercury Fur』が、いよいよ開幕。過剰なまでにグロテスクで美しい、その作品から気付かされたこととは?

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 映画『わたしのハワイの歩きかた』『僕は友達が少ない』、ドラマ『株価暴落』『ライドライドライド』『ロストデイズ』など、2014年は映像作品を中心に活躍した瀬戸さん。『マーキュリー・ファー』は、『八犬伝』以来、約2年ぶりの舞台出演作となる。

「舞台は、役者としてものすごく大切にしている場所なんです。実をいうと、どこかまだ恐怖心が少しあって、それを消せないでいるんですね。映像作品に比べて、舞台は役やストーリーに浸っている時間が長い。それは自分のなかで葛藤する時間が長いということでもあって、“役を理解できた”と確信しても、突如としてわからなくなることもある。その恐怖がいつもつきまとっている場所ですね」

『マーキュリー・ファー』の脚本を読み、強く感じたこと、役者として実現したいこと――それは「いかに芝居をしないか」

「たとえば役者をしていない人でも、普段から“芝居”をしていると思うんです。人に会った時は行儀よくしなくちゃ、とか(笑)。けれど舞台のうえでは、あえて芝居をしないことで、いろんな表現が生まれてくるのではないか――そのことをこの『マーキュリー・ファー』からは痛烈に感じました。描かれている世界が非現実的で、入っていきにくいからこそ、逆に“芝居”をしてはいけない、自分の感じたこと、あるがまますべてを出さなければいけないのだと思います

 今年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』では、高杉晋作、久坂玄瑞と並び称される松陰門下の三傑のひとり、吉田稔麿を演じる。幕末の乱世を走り抜け、池田屋事件において24歳の若さで斃れた志高き青年武士――。

「“歴史の勉強”というワードが、いかに視聴者の方々の脳裏に浮かばないようにするか。そこを追求しつつ、役に臨んでいます。それもまた“芝居をしない”ということにつながっていく。芝居ではなく、“そこに生きる”稔麿を演じたいと思っています」

 そんな瀬戸康史さんが選んだ1冊は、三島由紀夫著『潮騒』(新潮社)。――伊勢湾を臨む歌島の素朴な青年・新治、島へと呼び戻された美しい少女・初江。惹かれ合う2人だが、父を亡くし、漁夫として家族を支える彼と、裕福な家の初江には隔たりがあった。そして村に立った心ない噂……だが2人の恋は真摯に進んでいく。古代ギリシア的人間像に対する憧憬が生んだ青春小説の金字塔。

取材・文=河村道子

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