魅惑の国、トルコの風。刺激的で爽やかに香る、オリエンタル青春劇!

ダ・ヴィンチニュース / 2015年1月8日 5時50分

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『白い街の夜たち』(市川ラク/KADOKAWA)』

 現代は個人主義の時代です。何事においても、個人の自由がまず尊重されるべき、という向きがあります。“和を尊ぶ”がお家芸の日本でも、いつからか、周囲に流されず自分に自信を持って生きる「NOと言える日本人」が推奨されています。自分の意見がなかったり、流されやすい人は良い眼では見られず、芯があり自由に生きている人が、基本的には良いイメージです。

【画像あり】『白い街の夜たち』中面をチェック

 しかし、本当にそうでしょうか。仮に、自分がないというのは笹舟みたいなモノだとしましょう。確かに、家の裏のドブで流されるのはイヤです。ただ、ナイアガラの滝に流されるのだとしたら…。なんだかアリのように思えてくるではありませんか!周囲の環境が、今までにないくらい刺激的なのであれば、大いに流されたって良いのかもしれません。

 本作は、そんな刺激的な流れに身を任せる小さな笹舟のお話です。

 舞台は新宿。服飾学校に通う文子(あやこ)は学業も生活もスランプ気味。周囲を気にし、我を抑えてしまう自分にどこかやりきれない思いで過ごしていました。そんなNOといえない自分が災いし、ある時文子は半ば強引にトルコ料理店でアルバイトをすることに…。異国情緒たっぷりの見慣れない店内に、初めて見る料理の数々。圧倒されつつ、しぶしぶ働き始めた文子でしたが、知らないことだらけの毎日を過ごす内に、イキイキとしている自分に気がつくのです。

 本作の魅力はなんといっても異国感! 見たことのない名前や料理がバンバン登場し、物語の冒頭にして舞台がどこの国なのか分からなくなるほどです。主人公の文子と同じく、未知の世界に圧倒されっぱなしで気分はまるで海外旅行です。エキゾチックな香りを漂わせつつ、料理店でのエピソードに加え、文子の恋模様や過去と、繊細な物語が幾重にも進行します。

 甘酸っぱい青春にオリエンタルなスパイスをふんだんにあしらった本作。トルコ料理はどんな味か知らないのですが、刺激的で爽やかな本作の読み味は、なかなかクセになります。流される環境に困ったら、異国の河をおもいっきり流されてみる。これは大いにアリですよ。

ダ・ヴィンチニュース

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