フィギュアスケートこそ生で見るべき! テレビ観戦では伝わらないあの選手の魅力とは?

ダ・ヴィンチニュース / 2015年2月10日 12時30分

写真

『スケオタデイズ 戦慄のフィギュア底なし沼』(KADOKAWA メディアファクトリー)

 ソチオリンピックでの浅田真央のフリーの演技は、何度見ても感動する。ジャンプが決まるたびに、エネルギーを消耗しているはずがどんどん動きが力強くなっていくようだった。フィニッシュを決めた浅田が天を仰いだまま、涙をこぼした姿は忘れられない。会場の空気はその瞬間、爆発したように見えた。

【立ち読み】全日本選手権を肉眼で(4) 男子フリー編(上)

 そう、この異様にも感じる会場の空気。試合独特の緊張感を生み出すのに欠かせないもののように思う。コミックエッセイ『スケオタデイズ 戦慄のフィギュア底なし沼』(KADOKAWA メディアファクトリー)において、それはまるで予測不能に変化する巨大な生きもののようだと、著者のグレゴリー青山氏は述懐する。

 知り合いにチケットを譲ってもらったことをきっかけに、フィギュアスケートの非日常空間にすっかりハマった青山氏は、京都に住みながら、アイスショー、全日本選手権、四大陸選手権、世界選手権と、海外の会場まで足を延ばし、この巨大な生き物の一部と化す。財布の紐を失うほどに、彼女を突き動かしているものは何なのだろうか?

 魅力のひとつを、「肉眼で見る氷の上の王子様たち」と青山氏は述べて憚らない。実社会ではありえない服と動きで幻影を演じる彼らが、観客を別世界に連れていってくれるという。テレビの画面の向こうを自分の住む世界と切り離すことに慣れている私たちだが、現場に行けば、有無を言わせず夢の世界に取り込まれるようだ。

 そして、その世界では、銀盤の上で雄弁に語る選手たちと対話ができると著者は語る。

 2013年の年末の3日間、著者は必死に時間をこじあけ、全日本選手権が開催されるさいたまスーパーアリーナへ向かう。五輪出場権をかけて、高橋大輔、織田信成、羽生結弦、鈴木明子、安藤美姫、浅田真央らが出場した特別な試合だ。

 ケガを抱えて出場しショートで4位となった高橋大輔。もう失敗が許されないフリーで、4回転ジャンプに挑むも3回転になって両足着氷する。そのとき、「ごめん」という言葉が聞こえたような気がしたという。祈るような思いで演技を見つめ、「あやまらないで」と念じると、雄大にアレンジされた曲にのり渾身の力を振り絞って踊る高橋から、「今までありがとう」という言葉が確かに聞こえたとか。ファンの妄想と言ってしまえばそれまでだが、採点や順位とは別次元という極限状態の演技には、選手の声にならない言葉が感じ取れるのかもしれない。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
ダ・ヴィンチニュース

トピックスRSS

ランキング