3月14日に開通する「北陸新幹線」で行ける、日本海側の素敵な話 『裏が、幸せ。』酒井順子インタビュー

ダ・ヴィンチニュース / 2015年3月7日 11時30分

写真

『裏が、幸せ。』(酒井順子/小学館)

 2015年3月14日、東京と金沢を最速2時間28分で結ぶ「北陸新幹線」が開業する。構想から半世紀、同じ太平洋側から日本海側へと開通した新幹線の中で一番早く開業した上越新幹線から遅れること33年、ついに北陸の日本海沿いを新幹線が走ることになる。

ちょっと変わった「日本一」の風景

 この北陸新幹線開業を喜んでいるのが『女子と鉄道』の著書であり、鉄道好きとして知られるエッセイストの酒井順子さんだ。

「日本海側って、太平洋側から距離は近いのに、行くのが大変で、悪天候などで電車が遅れたり止まったりするし、飛行機は帰ってくることもある。また、山を越えないと行けないということが、心理的距離を長くしていたというのもあるんですよね。でも新幹線が通っている場所というのは、乗り換えをしないでそこまで行けるという、“陣地”のような感覚が生まれるんです」

 その北陸新幹線で行ける、日本海側の地が持つ魅力を伝えるエッセイ『裏が、幸せ。』を上梓した酒井さん。あえて日本海側の地を「裏」ということについて、酒井さんは本書の中でこう説明している。

 それらの地域は、以前であれば「裏日本」と言われた場所です。表日本が太平洋側とした時の、それは裏日本。「裏」という言い方が不快感を与えるということで、今は使用されない言葉になっています。

 しかし私は、日本海側において感動した光景の数々は、「裏」であるからこそ残ったのではないかと思ったのです。してみると、裏日本という言葉からにじみ出るのは、えもいわれぬ魅力。万人に開かれた「表」がもはやスレきった土地となった今、裏原宿にしろ裏磐梯にしろ、「裏」のつく場所は、人に「何があるのだろうか」と思わせます。人知れず素晴らしいものが隠されているのが裏、という気がしてならないのです。

●「裏」には、思いもよらなかったものを自分で見つけていく楽しさがある

「裏」に酒井さんが興味を持ったのは、三島由紀夫が『金閣寺』で、水上勉が『五番町夕霧楼』で題材とした「金閣寺焼失事件」について論じた『金閣寺の燃やし方』の取材で訪れたことだという。

「金閣寺に放火した犯人が生まれた、舞鶴市の成生へ行ったんです。そこは若狭湾に突き出した岬なんですが、ものすごい絶景だったんですよ。関東の人間からすると、そこが観光地になっていないのが変だと思うくらいの。でもそこには自然しかなくて、人もいないし、人工物も何もないんです。これは日本の中でとても稀有な場所だなと思ったのが、裏に興味を持ったきっかけでした」

ダ・ヴィンチニュース

トピックスRSS

ランキング