亀梨和也主演ドラマも好調! 活字ならではの『山猫』の楽しみ方とは?

ダ・ヴィンチニュース / 2016年3月5日 9時0分

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『怪盗探偵山猫 黒羊の挽歌』(神永 学/角川文庫)

 テレビドラマ版も大人気でますます話題沸騰のピカレスク・ミステリー「怪盗探偵山猫」。その最新刊となる『怪盗探偵山猫 黒羊の挽歌』が刊行された。新たなファンが増埴しているなか、執筆にあたって著者の神永学さんが意識したのは、「スタンダードな『山猫』であること」だったという。
「冒頭にはこれこそ『山猫』だ、という作品を置くべきだと思いました。主人公が早い段階で登場して、ストーリーがどんどん展開してゆく、まさに王道というような作品です。今回はやや変化球的な短編も収録しているんですが、まずはスタンダードがあってこそ」

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 山猫は“悪党から金を盗む”ことをポリシーにしている神出鬼没の窃盗犯だ。その胸のすくような活躍を、今回もたっぷり堪能できる。収録作は「羊の血統」「羊の叛逆」「黒羊の挽歌」の3編。いずれも「羊」という文字を含んでいるが、これにはどんな意図が?

「このシリーズ、実は“干支しばり”なんですよ。2冊目の『虚像のウロボロス』が蛇で、3冊目の『鼠たちの宴』が鼠。今回は未年の連載だったので羊にしました。これといった深い意味はないんですが、しばりがあった方がイメージが膨らんで書きやすい面もあるんです。ただ、羊は牧歌的な響きになりがちなので、タイトルを付けるのには苦心しました(笑)。将来的には十二支すべてを制覇できたらいいなあと考えています」
 

◆下北沢という街が生んだ人間味のあるヒーロー像

「羊の血統」は中編ともいえるボリュームをもった力作。下北沢の駅前を歩いていたライターの勝村英男が、男たちに追いかけられている女性を目にする。彼女はなぜか舞踏会で着けるような、ベネチアンマスクで顔を隠していた。

 ふとした好奇心から男たちの邪魔をした勝村は、因縁をつけられ暴行を受けるはめに。勝村のピンチを救ってくれたのは、マスク姿の女性だった。

「勝村は特に秀でた能力があるわけではありません。いわば読者に一番近い人物。そんな彼がワトソン役として、山猫の非凡な言動に驚いたり、つっこみを入れたりしてゆく。山猫というキャラクターを際立たせるうえでも、勝村はすごく大切な人物ですね」

 初登場時にはだいぶ頼りなかった勝村も、巻が進むにつれて成長してきたようだ。今回は山猫に「ずいぶんと図太くなったな」と言われるほど、自らの意志で事件にかかわってゆく。

「キャラクターの成長や変化は、シリーズものを書くうえで特に大事にしている部分です。人間は誰しも、人との出会いによって変わってゆく。それが人間関係の本質ですよね。僕の作品の登場人物は何らかの欠陥を抱えていることが多いんですが、少しずつ成長してゆく姿を描くことで、人って変われるんだ、と伝えられたら嬉しいです」

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