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ロカボで三方よしの社会を実現、スーパーから健康な世の中をつくっていく!=MD EDTION

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2022年2月24日 22時30分

i-stock/west

健康志向を背景に、緩やかな糖質制限を行う「ロカボ」の認知は進んでいるが、一方でさまざまな誤解もある。ロカボの普及に取り組む一般社団法人 食・楽・健康協会では、そうした誤解を解くために新たな「ロカボプラスマーク」を制定。流通業界と連携しながら、おいしく楽しく食べて健康になる社会をめざす。

「ロカボ」の食事法は、おいしく楽しく適正糖質

健康のイメージ
ロカボの普及に取り組む一般社団法人 食・楽・健康協会が新たな「ロカボプラスマーク」を制定。流通業界と連携しながら、おいしく楽しく食べて健康になる社会をめざす。 i-stock/west

 そもそも糖質とは、三大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)のひとつ、炭水化物に含まれるもので、血糖値を上げる原因といわれている。この糖質の取り方に着目し、未病をめざした食事法が「ロカボ」だ。“極端な糖質抜き” ではなく、“おいしく楽しく適正糖質を取る”ことを推奨するもので、北里研究所病院 副院長・糖尿病センター長の山田悟氏によって提唱された。

北里研究所病院副院長・糖尿病センター長 山田 悟氏
北里研究所病院
副院長・糖尿病センター長
山田 悟氏

 「1食あたりの糖質を20~40gに抑えたものを3食と、これとは別に1日10gの間食を楽しむ。つまり、1日あたりの糖質量を70~130gにコントロールする食事法です。緩やかに糖質摂取を管理することで、血糖上昇を抑えることはもちろん、メタボ予防やダイエットなどさまざまな効果が期待できます」(山田氏)

 こうしたロカボの考え方を広く普及させようと、山田氏は2013年に一般社団法人 食・楽・健康協会を設立。これに賛同し、ロカボパートナーとして同協会に加盟する企業は年々増え、いまや140社近くにまで上る。さまざまなカテゴリーでロカボ商品が開発されるなか、消費者がそれらを認識して購入できるようにロカボマークが16年に誕生。マークの付いた商品を選ぶことで、ロカボライフを実践しやすくなるとともに、ロカボの認知が一気に高まった。

いまだに広く浸透するロカボや栄養学への誤解

 ロカボライフを実践する生活者が増える一方で、「糖質だけでなく脂質やエネルギーもともに制限すべき」などロカボの概念について誤解も生じている。加えて、「人工甘味料は体によくない」、「動物性脂肪(飽和脂肪酸)は控えるべき」といった栄養学上の誤解もいまだに広く浸透したままだ。

 「かつてはカロリー制限こそが健康の源であると考えられていました。しかし、10年以上前にイスラエルで行われた試験ではそれが一転。カロリー制限した場合と緩やかに糖質制限した場合とを比較すると、緩やかに糖質制限しカロリー無制限で食べたほうが肥満の改善効果が高いことが示されたのです。カロリー制限によって骨密度の低下や貧血、筋肉量の低下も報告されており、最新の研究ではカロリー制限が健康に有害であることが明らかになっています」(山田氏)

 油についても然り。「健康のために食べる油を控えるべき」といわれたのは昔の話。最新の栄養学では、血糖の上昇を抑えるためには、たんぱく質や油の摂取を増やすことが重要であることをさまざまなデータが明らかにした。こうした科学的根拠に基づいた正しい知識を伝え、世の中に存在する誤解を解きたい。そして、適正糖質と併せて必要な栄養素の補給もきちんと意識してもらいたい。そんな思いから、山田氏が率いる一般社団法人 食・楽・健康協会(以下、食・楽・健康協会)が取り組んだのが、ロカボプラスマークの作成だ。

栄養学上の誤解を解くためにロカボプラスマーク誕生

「ロカボプラスマーク」の認定要件

 ロカボプラスマークとは、従来のロカボマークで規定された糖質量の条件に加え、たんぱく質や食物繊維の含有量など、5つの条件のうち1つ以上を満たした商品のみに付与されるもので、21年8月より新基準としてスタートした。これにより、低糖質かつ栄養補給が可能なワンランク上のロカボライフの浸透を図る。ロカボプラスマークの商品を選べば、糖質を抑えながら、不足しがちなたんぱく質や油脂、食物繊維も取れるというわけだ。

 この新基準に認定された初の商品が、マツキヨココカラ&カンパニー(千葉県/代表取締役社長 松本清雄)のプライベートブランド「matsukiyo LAB」から展開する「ロカボプラスシリーズ」だ。21年9月より、プロテインビスケット、大豆プロテインチョコ、パスタスナックなど、3カテゴリー全12商品を発売した。これらの商品はすべて管理栄養士が監修している。

 「小売業界の方々にロカボプラスマークの存在意義を理解していただくことが先決と考え、マツモトキヨシホールディングスさんのPB商品を認定商品の第1号にしました。最初にメーカーさんの商品にロカボプラスマークを付けてしまうと、『ロカボマークよりもロカボプラスマークの商品が優れているのか?』といった混乱を招きかねません。そこで、まずはドラッグストアの薬剤師さんに理解いただいた上で販売してもらう。そうすることで、小売業の方々の理解も進むことでしょう。メーカーさんによるロカボプラスマーク商品の展開は、そのあとになります。現在、食・楽・健康協会では、ロカボプラスマークの使用に向けてメーカー各社への栄養学に関する勉強会を実施しているところです」(山田氏)。

マツキヨココカラ&カンパニーのプライベートブランド「matsukiyo LAB」から展開する「ロカボプラスシリーズ」

ロカボライフの実施が小売業の売上拡大に

 ロカボライフを提唱する山田氏らがめざすゴールは、おいしく楽しく食べて健康になる社会だ。そして、そんな社会を小売業界とともにつくっていきたいと考えている。

 「薬に頼るのではなく、食べることで薬を減らす。食べることで健康になる。それは、ロカボライフを実践すれば可能なことです。糖質の量だけ気にしていれば、肉も魚も油もおなかいっぱい食べていい。言い換えれば、小売業界の方々が肉や魚や油を売ることによって、多くの人が健康になり、医療費削減につながる。しかもそれは、スーパーの売上拡大をもたらします」(山田氏)

 売り手も買い手も世の中も幸せになる、三方よしの社会がロカボによって実現できると山田氏は力を込める。だからこそ、小売業の方々には正しい栄養学の知識をもってもらいたい。そう考える食・楽・健康協会は、今年2月に開催されるスーパーマーケット・トレードショー2022に参加。ロカボ商品を紹介するだけでなく、血糖値の無料測定も行い、いま問題視されている食後の高血糖に関する気づきも与えていく考えだ。スーパーから健康な世の中をつくっていく。山田氏らの挑戦は始まったばかりだ。

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