災害やコロナ禍で注目度が上昇するローリングストック、企業がコーナー化など取り組みを強化
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2022年9月6日 22時30分
「ローリングストック」は、ふだん使う食料品を多めにストックして、定期的に食べながら非常時に備えようという考え方で、災害などを契機に徐々に浸透してきた。今回、流通各社を対象とした「ローリングストックに関するアンケート」を実施。各社の取り組み状況や、売れ筋カテゴリー、販促手法などを聞いた。その結果を要約して紹介する。
ストック関連商品は全般的に好調
「ローリングストック」は、災害の頻発やコロナ禍など、家庭でのストック需要が高まるトレンドに合わせて、注目度が高まる傾向にある。店頭でも「ローリングストック」関連商品を集約した専用コーナーを設置したり、「防災の日」など機会ごとに催事展開を行う事例も増えてきた。
今回のアンケートは、チェーンストアを運営する流通各社を対象に2022年7月に実施。質問用紙を配布し、ファックスやメールなどで回答を得た。食品スーパー、総合スーパーのほか、ドラッグストアやコンビニなどを含む21社から回答があった。
最初の質問では、「ローリングストック」商品への取り組み状況を聞いた。その結果、現在「取り組んでいる」が18社。「取り組みの予定はない」が3社。多くのチェーンがすでに何らかのかたちで「ローリングストック」を意識し、取り組んでいることがわかる(図1)。
次に、ここ数年での「ローリングストック」商品の販売動向を聞いた(図2)。「好調」と回答したのは5社。「普通」という回答が最も多く13社だった。逆に「不振」と回答した企業も2社あった。
次に「ローリングストック」の訴求を強化しているカテゴリーについて、複数回答で尋ねている(図3)。回答は多岐にわたっているが、最も多くあげられていたのは「無菌米飯」。次に「水・飲料」が多かった。このほか、レトルトカレーやシチューを含む「レトルト食品」全般や、カップ麺や袋麺などの「即席麺」、「缶詰」、「米」などの回答も多かった。
やはり、比較的賞味期限が長く、常温保存でき、手軽に食べられるという特徴を持った、ストック向きの食品が多い。食品以外では、「紙製品」「乾電池」「衛生用品」などをあげる企業が多かった。
また「冷凍食品」や「栄養補助食品」などをあげる企業もあり、コロナ禍と合わせて家庭内でのストック需要への対応が多様化していることがうかがえる。
次に、ここであげられたカテゴリーの中でも、好調なカテゴリーや具体的な商品を尋ねている(図4)。
回答で圧倒的に多かったのはやはり取り扱いが多かった「無菌米飯」と「水・飲料」。「レトルト食品」や「缶詰」をあげる企業もあった。ただし、この質問については、各カテゴリーの実績動向を踏まえて回答しているため、必ずしも「ローリングストック」訴求の結果、ストック用として購入されているかどうかは判断しにくい。回答でも「値上げ前の買い置きなど、市場動向による伸びが大きい」など、「ローリングストック」という観点とは異なるという見方も寄せられている。
「防災の日」などをテーマにトライアル機会を提案
次に「ローリングストック」商品をどのような販促施策で訴求しているかについて尋ねている(図5)。
これについての回答で多かったのは「店頭でのコーナー展開」と「チラシ掲載」だった。ほかに「防災の日」などと絡めた催事展開や、自社ホームページやアプリでの情報発信という回答が寄せられている。
また、年間で特定の月や時期を自社で「防災強化期間」として設定し、チラシ掲載のほかポスターやPOPなどで訴求する、という回答も見られた。
一般的に「ローリングストック」への関心は高まっており、実際に生活に取り入れている消費者も増えていると考えられるが、店頭からの情報発信や、需要増のきっかけにつながる機会を提案し、キャッチしていこうとする取り組みが行われていることがわかる。
メーカーとの商談の際、どのような提案を望んでいるかを自由回答で尋ねたところ、「使用シーンを明確にした提案」「ストックされたままにならないような工夫」「備蓄品として好調な商品の情報提供」「オンラインでの販促を想定した世帯人数に応じた推奨セットの提案」「ローリングストック各商品の組み合わせ訴求の提案」「ローリングストックにおけるアップグレード品についての提案」「安定的な供給」などの回答が寄せられた。
最後に、今度、「ローリングストック」のコーナー展開や、催事売場でのディスプレイ陳列といった売場づくりを行っていく予定があるかどうかを尋ねている(図6)。
これに対しては、「前向きに取り組んでいく予定」という回答が8社。「予定はないが、取り組みたい」という意欲を示しているのが7社と、多くが前向きな回答を寄せている。
さまざまな社会要因を背景に、社会環境や日常生活が変化し、ライフスタイルについても、多様な見方がある。コロナ禍や自然災害に加えて、ウクライナ危機の生活への影響も見通せない状況だ。こうした時代だからこそ、ニーズの変化に対応する提案のひとつとして「ローリングストック」をとらえ直してみる必要がありそうだ。
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