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20年前からOMOを志向!ブランド古着「ラグタグ」の存在感が高まっている理由

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2022年9月18日 20時55分

ラグタグ原宿店

リユース市場が盛り上がる中、常に先端を行く施策で注目されているのが、ティンパンアレイ(東京都/平野大輔社長)が運営するデザイナーズブランドのユーズドセレクトショップ「RAGTAG(ラグタグ)」だ。オンラインショップのスタートは1999年。早くからリアル店舗との連携に取り組み、OMO(オンラインとオフラインの融合)を推進するなど、独自の戦略を磨き上げてきた。

右肩上がりのリユース市場の背景

ラグタグ原宿店
原宿キャットストリートのラグタグ原宿店外観

 大量生産大量消費の時代から、少量多品種、循環型社会へのシフトに伴い、リユースが見直され、市場が拡大を続けている。

 創業は1985年。ブランド古着の買取・販売を行うセレクトショップ「ラグタグ」の起源は、「循環型社会」の芽もなかった時代に遡る。以来、37年に渡り、着々と拡大を続けてきた。ラグタグの運営会社であるティンパンアレイの平野大輔社長は、昨今のリユース市場について次のように解説する。

 「この10年、リユース市場は右肩上がりが続いている。背景にあるのはメルカリの浸透による、リユースへの接触機会の増大。加えて、若者の環境意識の高まりも、モノを大切にする風潮を後押ししている」(平野社長)

皆がブランドアイテムを購入できるように」が原点

ラグタグ倉庫
20万点以上のアイテムが収納されているラグタグの倉庫

 ブランド古着を扱うラグタグの原点には、金銭的に余裕のない若者でも、高額なブランドアイテムを購入できるように、という創業者の想いがある。時は流れ、ネットが浸透し、手軽に古着の売買が可能に。これにより、良くも悪くもボトルネックだった、古着売買のアクセシビリティが向上したことで、古着市場は一気に拡大した。

 23年前からオンラインショップをスタートさせていた同社は、当時、十分とは言えない人的リソースの中で、ネットとリアルの融合を試行錯誤。仕入れから売買、物流まで、一つひとつ課題をクリアしながら使い勝手を磨き上げ、信頼を積み重ねてきた。

古着ビジネスの肝、仕入れ力の強さの秘密

 圧倒的な仕入れ力はその一つの証だ。古着は売手がいて初めて仕入れが成り立つ。逆に言えば、「このショップで売ろう」とユーザーに選ばれなければ、仕入れ力が低下し、客離れにつながる。人気のブランドアイテムを毎日2000点以上入荷し、常時20万点を超える在庫を確保できているのは、同社が仕入れ商品に対し、愛情とこだわりを持ち続けているからに他ならない。

 最も象徴的なのは、「偽物は絶対に扱いません」という断固とした姿勢だ。同社では、買い取ったアイテムはまず全て倉庫に集約。そこで、一点一点、責任者が真贋をチェックする。責任者は、模倣品の研究を絶えず行っている厳しい目を持つプロフェッショナル。この厳しい関門をくぐりぬけた商品だけが、店頭に並ぶことになる。

買い取った商品は丁寧に「再生」

ラグタグ原宿店店内
ラグタグ原宿店店内

 買い取った商品が店頭に並ぶ前にもう一つ重要な工程がある。コンディションのチェックだ。状態に応じ、一点一点に最適のケアが行われる。必要に応じてクリーニング、オゾン消臭、アイロン仕上げなど、商品として最善の状態に仕上げてから、店頭でユーザーに提供される。

 店頭では、ショップスタッフの接客で販売をサポート。膨大なブランドが混在するなかで着こなしやコーディネイトを含め相談に乗り、納得のショッピングを後押しする。もはや、新品の商品と何ら遜色ない商品力と接客力で、古着の流通をより身近にしている。

買取でもユーザーファースト

 こだわりはもちろん、買取のシーンでも貫かれている。買い取る商品ももちろん、一点一点しっかりと査定し、その根拠も包み隠さず説明。開業時から蓄積されてきた豊富なデータが、ブレのない判断を後押しする。買取の方法には、宅配、店頭、出張の選択肢を用意。こうした配慮が、売る敷居を下げつつ、信頼を醸成し、同社にどんどん良質な古着が集まるサイクルが確立されている。

 ラグタグは、現在全国に21店舗を構えるが、オンラインショップの有効活用を推奨する。その理由は、「オンラインショップに商品のほとんどを掲載しているので、まずは見てほしい。その上で、お店に来ていただくと商品選びの楽しみも増すと思う」と平野社長。思わぬ商品との出会いが古着ショップの巡りの楽しみである一方、目当ての商品があるかどうかも重要な要素。客はオンラインで見た商品を店舗に移動してもらって、実物を確認することもできる。だからこその提案だ。

ワールド傘下でさらに際立つ立ち位置

ティンパンアレイ
ティンパンアレイの平野大輔社長

 2018年にはワールドグループの傘下となり、子会社となった。ワールドのリユース商品の取り扱いは現在数パーセント程度とのことだが、グループ内に新品、オフプライス、リユース販売の体制が整っていることは、同社の方針をさらに際立たせ、ビジネスを推進することになるだろう。なお、ワールドのオンラインサイト内にもラグタグの「オンラインストア店」がオープンしている。

 古いものに新たな価値を植え付けて、循環させるーー。

 競合が続々と参入してくる中で、同社のリユースとの向き合い方は取り扱いブランドへのこだわりが凝縮されており、強い独自性がある。

 またリユースの可能性をとことん追求するスタンスは、社会の風潮とも合致しており、低迷するアパレルの未来を切り開く突破口となるポテンシャルを存分に秘めているといえそうだ。

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