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家でのウイスキー飲用が定着し市場が拡大、ハイボール缶からボトルへの移行がカギ

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2022年12月29日 0時30分

i-stock/OlegEvseev

コロナ禍での家飲み需要の拡大によって大きく伸長したウイスキー市場。その動きは落ち着きを取り戻しつつあるものの、依然として好調だ。メーカー各社は新規ユーザー獲得に向けてさまざまな施策を展開しており、今後も市場の拡大が期待できそうだ。

ハイボール缶で新規ユーザーを獲得

 ハイボールという飲み方提案によって新たな飲用者を獲得し、市場の再活性化に成功したウイスキー。コロナ禍での家飲み需要の拡大によって、消費者のウイスキーに対する関心はさらに高まり、市場は大きく伸長した。その勢いは落ち着いたものの、依然として好調に推移している。

ウイスキーのイメージ
コロナ禍での家飲み需要の拡大によって、消費者のウイスキーに対する関心はさらに高まり、市場は大きく伸長した。その勢いは落ち着いたものの、依然として好調に推移している。(i-stock/OlegEvseev)

 KSP-POSデータによると、2021年11月から22年10月のウイスキー全体の期間通算金額P Iは対前年同期比1.4%増の5842円だった。金額PIが22年4月と5月で前年を下回ったのは、3月にまん延防止等重点措置が解除され、外飲みができるようになったことに起因すると推測できる。

 とはいえ、6月以降は再び前年を上回っており、家飲みでのウイスキーの飲用が根付いてきたことがうかがわれる。そのきっかけとなっているのがハイボール缶だ。これまでウイスキーになじみのなかった層も取り込み、チューハイなど他のRTDからの流入が加速。ウイスキーユーザーの間口が拡大している。

 一方で、ハイボール缶でエントリーしたライトユーザーがボトルウイスキーへ移行し、さらにプレミアムウイスキーへランクアップするケースも増えている。知れば知るほど、ウイスキーの奥深い世界に興味をかき立てられ、プレミアム志向も高まっているというわけだ。しかもボトルの場合、シーンや気分に合わせてさまざまな飲み方が楽しめるというメリットもある。こうしたウイスキーならではの魅力を訴求することで、プレミアム化を促進させることが、さらなる成長のカギといえそうだ。

ウイスキーの金額PIおよび金額PI対前年推移

新商品投入と施策で
ウイスキー市場は活性化

 ウイスキー市場が拡大傾向にあるなか、メーカー各社は新規ユーザー獲得やプレミアムウイスキーへのランクアップのためにさまざまな施策を展開している。

 まず、サントリースピリッツは世界120カ国以上で愛されている世界No.1バーボンウイスキーの「ジムビーム」のハイボール缶において、異なるフレーバーでの期間限定発売を次々と行い、興味喚起を図っている。ピンクグレープフルーツ、コーラ、オレンジ、アップルといったフレーバーを組み合わせることで、ハイボール缶の鮮度感を上げ、新たなファン獲得の機会を増やしている。

 また、キリンビールは今年4月「キリンウイスキー 陸」の中身とパッケージをリニューアルしたことで、上半期の累計販売数量が前年比40%増と好調に推移。ウイスキー市場拡大に貢献している。

 さらに、ペルノ・リカール・ジャパンは先頃ブレンデッドスコッチウイスキーの「シーバスリーガル」ブランドのコミュニケーションを一新。池田エライザさんを起用した新たな広告を、テレビ、デジタル、店頭の全方位で展開することで、若年層や女性にも「シーバスリーガル」ブランドが身近に思えるように訴求していく考えだ。

 年末年始の最需要期を目前に控え、小売業においてはハイボール缶からプレミアムボトルウイスキーまで幅広く取り揃えることで売場を盛り上げ、売上拡大につなげていきたいところだ。

※ 2021年販売数量(IMPACT NEWSLETTER March 1&15 2022号より)

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