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薬業3団体・日本ヘルスケア協会年頭所感「医薬品登録販売者の資質向上は社会の健康のカギ」

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年1月26日 20時56分

日本薬業研修センターの中込和哉理事長

毎年恒例の日本チェーンドラッグストア協会(東京都:以下、JACDS)と薬業3団体らの年頭所感発表が2022年12月9日に行われた。前編に続き、各団体代表者の年頭所感をお送りする。後編は日本医薬品登録者販売協会会長の樋口俊一氏、日本薬業研修センター理事長の中込和哉氏、日本置き薬協会代表理事の有馬純雄氏、日本ヘルスケア協会(東京都:JAHI)の今西信幸氏の年頭所感を掲載する。

日本医薬品登録者販売協会の樋口俊一会長
日本医薬品登録者販売協会の樋口俊一会長

日本医薬品登録者販売協会 樋口俊一会長
「職能団体として立法府への働きかけを本格化する」

 2023年は癸卯(みずのとう)の年。万事正しく筋を通していくと繁栄に向かうが、いったんやり方を間違うと事柄が紛糾して動乱を招くという年回りだ。そのため、一歩筋を誤ると何もかもが壊れて、ご破算にもなりかねないという年でもある。

 420年前の1603年は徳川家康が征夷大将軍に任じられ、260年以上の長きにわたる政権、徳川幕府が始まったとされる年だ。一方で120年前の1903年は、国のお金をすべて軍備に使う軍国主義が優勢になり、日露戦争から太平洋戦争の敗戦につながる端緒の年となった。

 23年は、日本医薬品登録販売者協会(日登協)にとって大きく飛躍するか否かの大切な1年になると考えている。われわれ日登協は、21年に定款を変更し、それまでの人材育成を主とした協会運営から、登録販売者の地位保全、職域拡大等をめざす職能団体として大きく舵を切り活動を進めてきた。とくに厚生労働省にはさまざまな局面で意見を述べ続け、結果、以前に比べ私たち医薬品登録販売者の意見に耳を傾けてもらえるようにもなった。

 ほかの業界から規制緩和の要望が出されていたOTCの遠隔管理については、その是非について22年度に検討を開始するのみの記載にとどまり、措置の期限不明記に持ち込むことができた。しかしながら具体化できなかった点も数多くあり、そこで23年は、日本医薬品登録販売者政治連盟から「日本医薬品登録販売者連盟」へ名称を変更し、これまでの行政府への意見具申だけではなく、立法府への働きかけを積極的に推し進めていきたい。

 JACDSは業界団体だが、日登協は職能団体としてわれわれの政治活動に協力いただける人を集め、数の力で、スタートしていきたいと考えている。

日本置き薬協会 有馬純雄代表理事
「南魚沼市をモデルに配置販売業者の活性化を期待したい」

日本置き薬協会代表理事の有馬純雄氏
日本置き薬協会代表理事の有馬純雄氏

 われわれ日本置き薬協会は、配置販売業の伝統を守り、置き薬を通じて、日本国民の健康の保持、増進に寄与することを目的とし、日々、移動配置販売事業者として資質向上に取り組んできている。

 2022年10月、当協会に加盟している足高薬品(新潟県)が、新潟県南魚沼市との間で、市民の健康づくり推進の相互連携協力協定を締結した。その協定書によれば、市民の健康づくりを推進し、市民の安全・安心な暮らしを確保し、地域の活性化に資することを目的とし、そのために、セルフメディケーションの強化、健康情報の発信、高齢者・児童等の見守り、災害対策等について、連携していくとしている。

 南魚沼市との同協定は、22年6月に富士薬品(埼玉県)との間でも締結されている。南魚沼市の世帯数は21年度末で2万125世帯あるとされている。それに対して配置薬業者の同市内の得意先件数は、富士薬品が約3200件、足高薬品が約5200件あり、またほかの配置薬業者の得意先軒数と合わせれば、少なくとも同市の約3分の1の世帯には置き薬があると推測することができる。

 現在、地域医療の担い手としては、医療機関や薬局、そしてドラッグストアの存在が大きなものになっているが、地域全世帯数の約3分の1に配置薬が置かれているとなれば、われわれ配置販売業者は見過ごせない存在である。そうした地域においては、定期的に得意先を訪問し、対面により生活者、消費者に医薬品等や健康にかかわる情報を提供できる配置販売業は、十分に地域医療を支える存在になり得る。

 南魚沼市のようなケースはまれだが、同様な取り組みが全国各地に波及し、業界活性化につながることを期待したい。

日本薬業研修センター 中込和哉理事長
「医薬品登録販売者の資質向上を支える」

日本薬業研修センターの中込和哉理事長
日本薬業研修センターの中込和哉理事長

 新型コロナウイルスは2022年内に収束する気配はなく、第8波の到来はいつか、感染症法上の分類「第5類」への引き下げはいつかといったことが話題になっている。いまやネット上でも巷でも、病気や医療の情報はあふれんばかりに流れているが、その中で私たちは一体何が正しい情報なのか、よくわからない状況にある。右往左往しているというのが正直なところだろう。

 そうした状況にあって、ドラッグストア(DgS)の存在は日々大きくなっているのを感じている。健康に関する相談事があるときに、病院や診療所は足を運びにくい。調剤薬局は処方せんがなければ気後れする。それに対しDgSは、医薬品登録販売者、薬剤師など、いつでも医薬の専門家がいて、何でも気軽に相談ができ、正しい情報を教えてもらえる。とくにこのコロナ禍で、DgSが頼りがいのある存在だということに多くの人が気づいたのではないか。

 そうした期待に応えるべく、医薬品登録販売者や薬剤師などの皆さんの御苦労はいかばかりかと頭の下がる思いだ。

 日本薬業研修センターでは、従来から、薬剤師、医薬品登録販売者などの方々が、この期待に十分応えられるだけの正確な知識とそれを伝えられる能力を養成するため、情報収集と提供、教育など、さまざまな資質向上支援を行ってきた。また、ここ最近では、大学や地方自治体が就業支援の一環として実施している医薬品登録販売者受験対策講習を担当し、好評を博している。医薬品登録販売者がますます注目を集めている状況にあると感じている。

 23年も引き続きコロナ感染予防対策を徹底させ、通信研修やライブ研修等のリモート研修にも対応できる医薬品登録販売者資質向上研修を実施していく。

公益財団法人日本ヘルスケア協会 今西信幸会長
「公益財団として本格的に活動開始」

日本ヘルスケア協会の今西信幸会長

 2022年は当協会にとって、9月に内閣府公益認定等委員会から公益認定を受けるというエポックメイキングな年になった。

 23年は公益財団法人として、本格的な公益活動の年になる。活動予定だが、公益財団法人としては、研究助成事業、セミナー事業、情報収集・提供事業、普及啓発事業がある。

 研究助成事業においては、公衆衛生の向上および高齢者福祉に関する研究活動にかかる関係者の活動を公募により助成していく。セミナー事業については、ヘルスケア、セルフチェック等に関する時機に応じたテーマを選定し、有識者を講師としたセミナーを開催していく。

 22年の実績として、9月にフレイル予防のオンラインセミナー、11月には「人々と地球の健康(プラネタリーヘルス)」のシンポジウムをハイブリッド開催した。情報収集・提供事業では、ヘルスケアの推進に資するエビデンスを収集し、新たに創出する学術的な活動を行うヘルスケア学会活動、ヘルスケア推進に際して具体的な課題・問題の解決を図る方策を検討し、条件整備を行うヘルスケア協議会活動を進めていく。

 普及啓発事業としては、先の三事業の活動成果をホームページでの報告および出版・動画制作等により公開し、ヘルスケアおよび健康寿命延伸に関する正しい情報を発信していく。

 また、従来からの継続活動に関しては、「野菜果物の店頭表示に関するサンドボックス実証結果の社会的実装」「必要とされるサンドボックス実証実験テーマの拡大」、昭和女子大学への寄附講座の提供、2025年大阪関西万博計画への協力等を継続していく。

 23年も、関係する行政や企業・個人の皆さまのご理解と絶大なるご支援、ご協力を心よりお願いしたい。

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