エリア内のNo.1企業とどう戦う? 売上規模500億円チェーンが勝ち抜くための戦略は
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年2月22日 20時56分
人口減少エリアで勝ち残るスーパーマーケットの条件について考察する本連載。第3回では、売上高500億円前後のスーパーマーケット企業が今後とるべき戦略について考えてみましょう。
「なぜ自社店舗が勝っているのか」を考える!
売上高500億円規模のスーパーマーケットは、同エリア内に「エリアNo.1企業」が存在し、2番手、3番手に置かれている企業が多いことかと思います。また、それよりもさらに下位から「2番手・3番手のポジションに上がろう」と勢いよく成長している企業もあるでしょう。こうした企業は上位のチェーンとどのように戦っていけばいいのでしょうか。
自社の店舗の状況を考えてみてください。エリア内のトータルの店舗数では負けているかもしれませんが、店自体が負けているわけではないと思います。エリアNo.1企業の店舗との競争で勝っている店舗もあることでしょう。
注目したいのは、「なぜ、その店舗は競合店に勝っているのか」という点です。
はじめに、自社店舗が勝っている点をポストイットに書き出してみてください。そして、店舗と本部の担当者でグループをつくり、ディスカッションを行ってみましょう。自社店舗が勝っているのか理由が必ずわかるはずです。
次に、その優れている点をブラッシュアップし、成功事例を徹底的に拡大・平行展開していきましょう。これを続けていると、競合に勝つための「法則」のようなものが見えてくるはずです。後は、それを繰り返し、地道に進めることです。立ち止まってもよいですが、決して後ろには戻らない、不退転の覚悟で実行することが重要です。
「利益確保」を文化にしよう!
地方エリアで売上500億円規模のチェーンにとって必須条件となるのが、「営業利益ベースで黒字であること」です。中には営業利益額が低い企業もありますが、基本的に、営業利益が出ていなければ競争を勝ち抜くのは難しいです。とくに大手チェーンとの長期戦になると、状況はかなり厳しくなります。“体力勝負”はやはり資金力で勝る大手が有利です。
繰り返しになりますが、この規模のチェーンにとって重要なのは「利益確保」です。これを一般社員、パート・アルバイトのレベルまでどう浸透・共有できるかが競争のカギを握ります。「継続は力なり」です。徹底して、経営側が言い続けるしかありません。
「商品利益」という考え方も重要です。定番商品の原価はいくらか。値入率は何パーセントか。インストアプロモーション・チラシ販促のときはどれくらい儲けることができるのか……。
商品を販売する際は、常に「利益」を頭に入れて行動を起こす癖をつけ、それを企業の文化として確立させる必要があります。「そんなことは当たり前だ」「当然それはできている」と思った人が多いことでしょう。ですが、現場は本当にできているのでしょうか。1つの文化をつくるのは非常に大変であり、一朝一夕では実現できません。
では、売上はどう考えればよいのでしょうか。売上を上げることは、目的でなく「手段」です。目的とは「利益を確保すること」です。これを間違えると、この規模のチェーンの業績はすぐに悪化していきます。そうならないためにも、「これでいいのか」を繰り返し、検証を重ねていきましょう。これができなければ、上位企業への挑戦もできません。
ステップアップに欠かせない「商品部の強化」
この規模のチェーンがさらなるステップアップをするためには、商品部の強化も必要になってくることでしょう。前回の連載でもお伝えしましたが、「利は元にあり」です。マーチャンダイジングのレベルアップを図り、自社の成長につなげていただきたいところです。
まず、見直したいのが「情報収集」の方法です。当然、一般的な情報収集はできていることかと思います。ただ、これからの時代は、当たり前の情報だけでは生き残っていくことはできません。必要な情報をタイムリーに掴むことができるように、あちこちに精度の高いアンテナを立てて、情報を収集することが求められます。重要なのは「癖をつけること」です。最低でも独自の情報収集先を3つ、持つようにしてください。
「バイヤーの教育」も課題です。企業が次のステージに上がっていくためには、バイヤーの再教育が必ず必要になってきます。店舗運営はオペレーションの工夫で何とか乗り切ることができますが、バイヤーの仕事はオペレーションで動かすことができません。
それは、バイヤーは「人に付く仕事」が多いからです。バイヤーの教育は「初級」「中級」と段階を踏みながら成長させる教育体制が欠かせません。皆さん、自分の会社にはそうしたキャリアプランが用意されているでしょうか。
当然、商品部ですので「絶対に負けない商品づくり」も重要になります。バイヤーはルーチン業務ももちろん大切ですが、今後はこの部分を強化していかなければ、会社が大きくなっていきません。エリア内の新新店舗やベンチマーク店舗のリサーチを欠かさないことです。そのためには、やはり定点観測が重要となります。
次に、「マーケティング」という視点も忘れてはいけません。商品を販売するにあたり、最初に考えるべきは、「マーケティングの4P」です。「Product(商品=何を売るのか)」、「Price(価格=いくらで売るのか、数量・利益は)」、「Place(場所=どこで売るのか)」、「Promotion (販促=どんな販促を展開するのか)」。この4Pを土台にPDCAサイクルをうまく回し検証をしていくことです。
ご存知の方も多いと思いますが、PDCAとは、①Plan(計画・企画)→②Do(実行)→③Check(状況把握・分析)→④Action(改善)のサイクルを回していくことです。販売計画を立案して実行、そして検証・改善をする。簡単に書いていますが、奥が深いことです。これも癖にしていくと、企業の力になっていくことでしょう。
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