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売上高1000億円超も! 意外と知らない「メガフランチャイジー」の実態

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年3月14日 20時55分

hanohiki/istock

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小売業の「フランチャイジー」といえば、零細・弱小・家族経営といったイメージが世間的には根強い。コンビニエンスストアのオーナーが本部の理不尽な要請に振り回される……そんな記事を目にした方も多いだろう。確かにそれは一部事実であるのかもしれないが、すべてがそうというわけではない。中にはフランチャイザーに対して強い発言権を持つフランチャイジーもいる。本稿ではメガフランチャイジーについて、販売業における位置づけや社会的役割、代表的な企業の動向を解説するとともに、メガフランチャイズ成功の方程式について考えてみたい。

「メガフランチャイジー」とは何か

 中小企業診断士や経営コンサルタントで構成されるフランチャイズ研究会では、「30店舗以上を展開、あるいは売上規模20億円以上のフランチャイジー」をメガフランチャイジーと定義する。

 公式の統計データはないが、全国には100社以上のメガフランチャイジーがあるといわれている。株式上場を果たしたメガフランチャイジーも10社以上あり、中小・中堅企業における事業拡大・成長の選択肢としても注目されている。

 日本ではいかにしてフランチャイズチェーンが形成されてきたのか。その歩みはいくつかに類型化される。もっとも一般的なのは、個人経営の商店主がフランチャイジーとして組織化されたパターンだ。「ハードオフ」のフランチャイジーは家電小売店、「セブン-イレブン」は酒店・たばこ店からの転身が多かったとされる。時代の流れでいずれは淘汰される運命だった店舗オーナーを巧みに取り込んだといえる。

FCビジネスの“シンデレラストーリー”

 フランチャイジーの中には、個店からスタートして成り上がったという“シンデレラストーリー”も実在する。各都道府県を営業エリアとするトヨタ系ディーラー(トヨペット・トヨタ・ネッツなど)も、戦後すぐに、零細の自動車修理工場や販売店主の系列化をしていったところから始まった。その後はモータリゼーションとともに、各ディーラー企業も急成長の波に乗る。ウエインズトヨタ神奈川(旧横浜トヨペット)のように、売上高が1000億円を超える企業もある。

 元日本マクドナルド社員の田中智行氏が2002年に設立した、マクドナルドフランチャイジーの豊昇(埼玉県)も成長著しいメガフランチャイジーの1社だ。

 同社は2002年に「アピタ本庄(現MEGAドン・キホーテ本庄)」(埼玉県本庄市)に1号店を出店し、フランチャイズビジネスをスタート。それから約20年が経過し、現在は東京都・群馬県・埼玉県に73店舗を展開するメガフランチャイジーに成長している。売上高も右肩上がりで、2021年度の売上高は132億円となっている。

 さらに「マクドナルド」の店長のうち100人に1人だけが授けられる「レイ・クロックアワード」も同社から3名の受賞者を輩出している。日本マクドナルドが主催する技能コンテスト「AJCC(オール・ジャパン・クルー・コンテスト)」の全国大会にも延べ6人が出場し、そのうち1人が優勝を果たしている。本部主導のキャンペーンにも積極的に協力し、高いスキルを持った従業員を抱えているのも同社の強みと言っていい。

複合型のメガフランチャイジーとは

 メガフランチャイジーの成長パターンには、豊昇のように“マクドナルド一筋”で店舗展開する「単一型」だけでなく、複数のフランチャイザーと契約し、規模拡大を図る「複合型」もある。

 九州地方を中心として飲食店を100店舗以上運営するイートスタイル(宮崎県)は、複合型の代表格だ。提携するフランチャイザーは「サーティーワンアイスクリーム」「ビアードパパ」「ポポラマーマ」「ビビン亭」など10以上におよぶ。

 複合型の中でもとくに存在感があるのが、「業務スーパー」「オートバックス」のフランチャイズ運営を手がけるG-7ホールディングス(兵庫県:以下、G-7)である。同社の創業は1976年。オートバックスとフランチャイズ契約を結び、二人三脚で成長してきた。G-7傘下の国内店舗数は69店舗(2022年9月末時点)で、オートバックスグループ(国内585店舗)の中でもトップのフランチャイジーだ。

 ただしオートバックスを含めた「車関連事業」の伸びは2015年3月期より鈍化を続け、現在はすっかり横ばい状態となっている。これに替わって成長を支えているのが、2002年にFC契約を結んだ「業務スーパー」だ。

メガフランチャイジー筆頭!G-7を支える「業務スーパー」

 業務スーパーの躍進とともに、G-7の業績は好調を続けており、事業セグメント別業績では、業務スーパー事業の売上高は車関連事業の倍以上となり、売上高全体の半分以上を占める。現在、G-7が運営する業務スーパーの店舗数は178店舗(2022年9月末時点)となっている。今後も業務スーパーの新規出店は続くと見込まれ、G-7の持続的成長を支えそうだ。

 G-7全体の業績はどうか。2005年3月期に439億円に過ぎなかった売上高は、2015年3月期には883億円と倍増。直近(2023年3月期)ではさらに倍以上の1800億円を見込む。G-7がここまで伸びることができたのは、オーナーによる「伸びるFC」を見極める力が大きく寄与したといえよう。

 そんなG-7にとってアキレス腱となるのがガバナンスだ。創業2代目の社長が、昨年に不祥事を起こし辞任、ジャスコ出身の金田達三氏にバトンタッチしたのだ。この件では、オートバックス側がフランチャイズ契約の見直しを検討するまでの危機的事態を招いた。カー用品販売店チェーンの経営者が酒気帯び運転で事故を起こしたとは冗談でも笑えない。

 これはG-7だけの問題ではない。メガフランチャイジーの中には一代で急成長をとげたところが多く、ガバナンスやコンプライアンスは弱くなりがちだ。FC本部との信頼関係、伸びるFCを見極める力、そしてガバナンス……メガフランチャイジーの成長を支える原動力はこのあたりにありそうだ。

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