新連載 「なんでも値上げ時代」に知っておきたい、主婦の買物行動と消費心理
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年3月2日 20時55分
あらゆるものが値上がりしている昨今、物価の上昇に給料アップが追い付かず、実質的な賃金は低下傾向にあります。いまだ天井の見えない「値上げラッシュ時代」を切り抜けるため、家計の財布を握る主婦たちは、どのような視点で買物をし、行動しているのでしょうか。本連載では、実際に3人の子を育てる主婦として日々やりくりに奮闘する筆者から見た、「値上げ時代の主婦の心理と行動」について解説していきます。
「なんでも値上げ時代」の主婦の心理とは
日々の食卓から、日用品や雑貨まで、家庭内で必要なあらゆるものの買物を担当している主婦は、最近の「値上げラッシュ」を敏感に感じ取っています。
「以前はこの値段で購入できたものがこれだけ値上がりしている」など、具体的な品名から値上がり額まで把握している主婦も多く、店舗を1巡2巡としながら、購入するものの品定めをしています。価格が同じでも量を減らしている「ステルス値上げ」なども目立つため、以前と同じ額で同じものを購入することが難しくなっていることをしっかりと理解しています。
コロナ禍による不景気に続いて「値上げラッシュ」が到来していることから、節約志向はより高まり、以前よりも「価格」に対しシビアになっているのは間違いありません。
筆者は、3人の子どもを育てており、日頃から「無理のない節約」を長期的に続けることを提言していますが、以前は手に取らなかった「値引きのシール」などが貼られている商品や、「本日限りのお買い得品」といった“お得感”のある商品に目が行きやすくなりました。「間もなく値上げが予定されている商品」などは、「少しでも安いうちに買いだめをしておきたい」という心理にもなりますし、安定した価格で購入できる「
「同じものを購入するならより安く」
以前は必要性を感じなかった節約にまで手を出さなければ、以前と同じ価格で購入することは難しくなっていることから、「同じものを購入するならより安く購入して、節約につなげたい」という意識が働きます。また、今でも「値上げの影響が少ない」と感じられる商品も存在するため、「定番品を値上げの幅がより小さいと感じられる商品へ変更する」といった行動もとりながら、全体として支出の増加を抑える工夫を考えています。
筆者は、ポイントなどを活用した、いわゆる「ポイ活」なども提言していますが、値上げ時代を賢く乗り切るためには、決済の簡便化の面だけでなく、少しでもお得に買物をしたいという心理から、「ポイント」もより積極的に利用したいと考えています。
クレジットカードなどを利用した決済では通常1%前後のポイント還元率が基本となりますが、常時1%以上のポイント還元率となる場合や、キャンペーンなどにより10%、20%のポイントが還元される場合や商品が割引されるクーポンなどは、節約としても魅力的です。収入が増えにくいと感じている人が多い最近では、「ポイ活」を「収入アップのため」に行う人も増えており、「この還元率なら、この機にこの買物を」といった、普段は買い控えているようなやや高額な買物の動機にもつながっています。
「価格」だけにとらわれない「価値」の魅力
特売品やポイントの活用を上手に駆使することで、価格を抑え、値上げラッシュによる影響をできるだけ軽減したいと考えている人もいますが、もはや節約だけでは吸収できないほどに値上げが続いていることから、「値上がりによる多少の支出の増加はやむを得ない」と許容せざるを得ない段階に来ていると考えることもできます。
「節約志向」だけで価格の負担を減らすことができないならば、「見た目」「量」「質」なども含めた「総合的な商品のバランスを重要視した買物をしたい」という考えにもつながります。
たとえば、共働き世帯で「頻繁に買物に行けないことが多い」場合は、時短などの「簡便さ」、「本物・高級志向」であれば「価格に対して質がよい」、「流行志向」なら「映え」などとも言われる「見た目の華やかさ」など、付加価値がある商品ならば、「価格」の面だけで商品を評価しないといった考えです。
総合的に見た時の「商品の価値」が高ければ、「低価格」だけが買物の魅力とはいえず、値上げが止まらない最近では「価格を抑えることが難しいなら総合的な価値を求める」といった価値観のシフトがあってもよいのではないかと感じます。
「値上げ後の価格」が当たり前になりつつあり、消費者も「慣れ」を感じることで、低価格で購入することだけを求めても無理があることを主婦は理解しています。
新たな価格帯において「買物の楽しみを失わない工夫」を考慮しつつ、我慢や節約だけで終わらない購買意欲を刺激される商品の登場に期待が高まります。
次回からは主婦が実際にどのような買物行動をしているのか、スーパーマーケットの部門別に解説していきたいと思います。
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