ストア・オブ・ザ・イヤー2023を発表!今、行くべき店はこの店だ!
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年3月7日 20時47分
新型コロナウイルスの発生から3年余りが経過し、人々は徐々に日常生活を取り戻しつつある。しかし、水道光熱費をはじめとした各種コスト増や、値上げラッシュによる消費マインドの冷え込みなど、食品小売店は新たな変化の局面に対峙している。そうしたなか本特集では、果敢に新しい店づくりを実践している、ビジネスの参考にしたい「今、行くべき」店を挙げ、解説する。全2部構成で、パート1では「STORE OFTHE YEAR 2023」の入賞店舗を掲載、パート2では業界の注目テーマに沿って、その先端をいく19店を厳選し紹介する。
●選考基準
2022年1月1日から12月31日までに開業・リニューアルした店舗、商業集積、専門店で、インパクトがあり、これからの店舗開発に影響を与えるような斬新なコンセプトを持つものであること
●選考方法
本誌の定期購読者、小売企業広報担当者、有識者、その他の小売業関係者からFAX、インターネットにて投票を受け付けた(期間:2023年1月27日から2月14日)
●順位決定
読者、小売業関係者、有識者、本誌編集部などの投票により総合順位を決定した※写真・記事は、取材時のものをベースにしているため現状とは異なる場合があります
有力SMの渾身の旗艦店が多く開業
コロナ感染拡大は人々の買物行動を大きく変えた。ECが今まで以上に普及したほか、1度にまとめ買いする傾向も高まった。また、食品を強化するドラッグストアの台頭など、業態を超えた競争が激化している。
加えて直近では、ウクライナ情勢に端を発し水道光熱など各種コストが増加。節約志向が高まり、消費者の財布の紐はいっそう固くなっている。
こうしたなか食品小売業店が生き残っていくには、これまで以上に自社ならではの強みを発揮し、消費者が持つ多くの選択肢の中から“選ばれる店”になる必要がある。“選ばれる店”とは、時流に応じた品揃えや価格、店づくりを実践し、ほかにはない買物体験の提供によって、来店動機を創出できる店である。本特集では、そうした店づくりのヒントを提示したい。
まず、PART1では今年で第36回を迎えた本誌恒例企画「STORE OF THE YEAR」で入賞を果たした店舗と商業集積、専門店を発表し、評価を得た理由を解説していく。
今回、栄えある1位に輝いたのは、ライフコーポレーション(大阪府)の「セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店」だ。同社は近年、連続で上位3位入りを果たすもトップの場を譲り続けており、今回、待望のナンバーワンの座を射止めたかたちだ。東京・恵比寿にある複合施設「恵比寿ガーデンプレイス」に出店。同社の岩崎高治社長は「社運をかけるくらいの気持ちで(開店に)臨んだ」と述べており、新しいSMの創造に全社で挑戦した店である。とくに顧客層、商圏の拡大をめざして、ハイエンド層向けの高付加価値商品を多く投入しており、その提案力、商品力の高さが多くの業界関係者を驚かせた。
2位は、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都)傘下のカスミ(茨城県)の新業態「BLΛNDE(ブランデ)研究学園店」だ。22年1月に新業態1号店「つくば並木店」を出店しており、研究学園店はその2号店。今回の投票では、「フードスペシャリティストア」を掲げ、圧倒的な食の集積に挑んだ2号店が票を集めた。
3位入賞は、サミット(東京都)の「サミットストア世田谷船橋店」だ。同店は、22年度を最終年度とする3カ年中期経営計画「GOGREEN 2022」を具現化したと位置づける店舗。サステナビリティを経営戦略に取り入れ、それを店づくりにも徹底的に落とし込んだ点が先進的だとして高い評価を得た。
ほかにも10位以内では、商品政策(MD)の完成度の高さが注目された店として、4位に「ヤオコー八王子鑓水(やりみず)店」、5位に「原信古正寺店」が入賞。また節約志向が高まるなか消費者に支持される店づくりを実践しているとして、7位の「生鮮市場TOPビバモールさいたま新都心店」や、9位の「ビッグ・エー葛飾南水元店」などがランクインを果たしている。
ワンストップ、冷凍食品…今の消費者の心をつかむ
商業集積部門では、1位が三井不動産(東京都)の「三井ショッピングパーク ららぽーと堺」、3位が同じく三井不動産の「三井ショッピングパーク ららぽーと福岡」と、「ららぽーと」の強さが際立つ結果となった。
2位には、イオンタウン(千葉県)の「イオンタウン毛呂山」が、地域性、ワンストップ性を高めた近隣型ショッピングセンターとして支持された。
「ららぽーと」が評価されたポイントが、消費者を引き付ける「体験価値」を提供している点だ。
施設内に、屋内型スタジアムコートや複数のパークを設置するなど、買物にとどまらないさまざまな体験を可能にする施設づくりを実践している。
専門店部門の1位はイオンリテール(千葉県)の「@FROZEN(アットフローズン)」だ。需要が伸長する冷凍食品に特化して、圧倒的な品揃えを提供し群を抜いて多くの票を得た。
続く2 位は大創産業( 広島県)の3つの業態を集積した「DAISO Standard ProductsTHREEPPY(スタンダード プロダクツ スリーピー)マロニエゲート銀座店」、3位はニトリホールディングス(北海道)の都内最大級の店舗「ニトリ池袋サンシャイン60通り店」と、都心で各社が総力を結集した店舗が名を連ねている。
“売らない”店にサステナブルな食提案も
PART2では、5つのテーマを挙げて、その先端をいく店を編集部で厳選した。
まず、注目の商業施設として、福岡空港に近く、海外からも脚光を浴びている「三井ショッピングパーク ららぽーと福岡」を取材。とくに食の集積にクローズアップし、その中核となっている西鉄ストア(福岡県)の新業態「レガネットDAILY ENTERTAINMENTSQUARE(デイリー エンターテインメント スクウェア)」や、飲食と物販を融合した「MARKET351」の店づくりをレポートする。
次に、体験価値を追求する事例として、ファッションECサイト運営のZOZO(千葉県)が初めて出店したリアル店舗「niaulab(似合うラボ)by ZOZO」に注目。店舗で商品は売らず、「似合う」を見つけるという体験の提供によって、企業成長につなげようとしている。
また、コロナ禍で需要・関心が高まった「サステナブル」「冷凍食品」をキーワードに挙げ、植物肉の量り売りなど未来の食・生活スタイルを体験できるレストランや、冷凍食品卸が開発に乗り出したフローズン食品の専門店を紹介する。
最後に、最新トレンドがわかるスイーツ、パン、総菜の専門店などもピックアップした。是非、商品開発や提案の参考になれば幸いだ。
本特集に登場する店に共通するのは、変化の局面に商機を見出し、果敢に新たな店づくりに挑戦している点だ。不確実性の高い現在、食品小売店にはこれまで以上にこの変化対応力、そして独自の価値を生みだす力が求められている。是非、実際に店に足を運び、その取り組み、姿勢を体感してほしい。
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