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トライアルの”都心部攻略”の成否を占う!? 「TRIAL GO 今泉店」売場レポート

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年3月27日 20時55分

TRIAL GO 今泉2丁目店

トライアルカンパニー(福岡県)は3月24日、次世代型スマートストア「TRIAL GO(トライアルゴー)」の最新店舗、「TRIAL GO 今泉2丁目店」(以下、今泉2丁目店)を福岡市内にオープンした。トライアル全店でみてもほぼ類を見ない、都心部立地の小型店である。「24時間顔認証決済」「AIカメラによる売場・商品のモニタリング」といったトライアルならではの最新技術を導入するほか、約50坪という小さな売場で価格、品質、品揃えそれぞれを追求した商品政策(MD)を取り入れ、既存のコンビニエンスストアやミニスーパーとは一線を画した店づくりを志向している。近年の”都市型小型店ブーム”に一石を投じる、同店の売場をレポートする。※文中の価格はすべて税込み

福岡・天神すぐの都心部にトライアルが進出!

TRIAL GO 今泉2丁目店
TRIAL GO 今泉2丁目店

  TRIAL GO」は、大型のスーパーセンター(SuC)を主力業態とするトライアルが“小型店フォーマット”として出店を進めているもの。昨年4月に福岡県宮若市で「脇田店 in みやわかの郷」(以下、脇田店)を実質的な1号店としてオープン。その後福岡県内で徐々に出店を進めており、現在「TRIAL GO」を屋号に掲げる店舗は11店舗を数える。

  その最新店舗として324日に開業したのが、今泉2丁目店だ。九州随一の繁華街・天神エリアから徒歩圏内にあるマンションの1階部分、コンビニエンスストアの退店跡への居抜き出店で、売場面積は約50坪。脇田店が約300坪の“食品スーパーサイズ”だったのに対し、今泉2丁目店は“コンビニサイズ”の店舗となっている。

 高品質&低価格でコンビニとの差別化図る総菜売場

 売場を写真とともに詳しく見ていこう。

 入口最前部に配置されているのは総菜売場。平台と壁面を使い、近隣のSuC店舗や、トライアルグループで総菜の製造を担う明治屋(福岡県)のセントラルキッチンから供給を受けた商品が並ぶ。

今泉2丁目店の総菜売場
今泉2丁目店の総菜売場

 オープン日の目玉商品として売り込まれていたのが、鮮魚寿司だ。近隣のSuC店舗で店内調理されたもので、都心部のコンビニやミニスーパーではまずお目にかかれない見栄えの良さと鮮度の高さが特長。単身・少人数世帯の需要を見込み、SuCで販売している商品よりも量目は減らした。「上握り6貫」(380円)、「生サーモンの炙り握り」(399円/6貫)などワンコインで買える商品のほか、旬のネタを使った「春の厳選にぎり」(599円)、「海鮮漬け丼」(399円)など、豊富なラインアップとなっている。

近隣店舗から供給を受ける鮮魚寿司はとくに強力な差別化商品
近隣店舗から供給を受ける鮮魚寿司はとくに強力な差別化商品

 弁当類も、トライアルが追求する「低価格・高品質」のコンセプトが貫かれている。「ロースかつ重」(329円)、「豚蒲焼丼」(350円)、「明太高菜の鯖ほぐし重」(320円)、「牛焼肉丼」(399円)などほとんどの商品が300円台。年々価格が上昇しているコンビニの弁当類と比較するともはや“激安”の域だが、寿司同様に近隣SuCで店内調理、あるいは明治屋のセントラルキッチンで丁寧に作りこまれたもので、値打ち感が大きい。

弁当もほとんどの商品がワンコインで買える価格設定
弁当もほとんどの商品がワンコインで買える価格設定

 なお、総菜売場の上部では複数のカメラが稼働しており、商品の販売動向や売場の状況などを常時モニタリングしている。映像は供給元の近隣店舗やセントラルキッチンにそのまま配信されており、それをもとに製造数・納品数などが決定される。

 

ドラッグストアも顔負け!? 安さ際立つ食品売場

 今泉2丁目店では、限られた売場スペースの中で、青果、精肉、鮮魚の生鮮3部門も導入している。青果は使用頻度の高い根菜や葉物類のほか、カット野菜が充実。精肉は近隣店舗や外部メーカーからの納品で対応しており、牛・豚は手ごろな価格で使い勝手の良い薄切り肉を中心に、鶏肉は九州産若鶏のもも・むね肉の切り身を軸に、いずれもSuCと遜色のない低価格で提供している。鮮魚は先行して開業したTRIAL GOの販売動向に鑑み、塩干に絞り込んだ。

青果は根菜や葉物類のほか、カット商材を中心に販売
青果は根菜や葉物類のほか、カット商材を中心に販売
精肉は牛豚鶏をカバーし、手ごろな価格で販売
精肉は牛豚鶏をカバーし、手ごろな価格で販売

 日配品はプライベートブランド(PB)を中心に、さらに安さが際立つ。オープン日はPBの豆腐が49円、同じくPBのチルド麺各種(うどん、ちゃんぽん、焼きそば)が29円、納豆も最安品で3パック89円と、ドラッグストアに比肩する価格帯である。

 加工食品はゴンドラ2本を使って品揃えを追求した棚割りを形成。ドレッシング、焼き肉のたれ、パスタソース、スパイスなどは地元メーカーの商品も随所に差し込みながら、バラエティ豊かな品揃えとなっていた。

加工食品は品揃えを追求
加工食品は品揃えを追求

 食品以外では日用雑貨の売場に一定のスペースを割いており、文房具、充電器・電池類、歯ブラシ、洗剤、紙製品などをカバーしている。

 

酒類も購入可能!顔認証決済システムがオペレーションを変革する

顔認証決済システムを取り入れたセルフレジ
顔認証決済システムを取り入れたセルフレジ

 さて、今泉2丁目店の売場以外での大きな見どころとなっているのが、顔認証決済システムを導入したセルフレジだ。事前に自身の顔と本人確認書類を登録し、トライアルの会員カードもしくは決済アプリ「SU-PAY(スーペイ)」に紐づけることで利用が可能。セルフレジ上部の顔認証カメラに顔を向けるだけで、あとは商品をスキャンするだけで決済が完了する。本人確認書類で年齢も情報として登録されるため、店員の年齢確認を経ることなく、酒類も24時間購入することができる。

 同レジは脇田店で関係者向けに運用を開始、昨年10月に「TRIAL GO 曰佐(おさ)店」(福岡県福岡市)で初めて一般向けに公開された。曰佐店ではすでに約400名が顔登録したうえで利用しているという。トライアルでは、都心部に立地する今泉2丁目店で得た、利用動向をはじめとするデータの活用・分析を行いながら、他店での導入に向けたシステムのバージョンアップを進めていく考えだ。なお、今泉2丁目店では有人レジはなく、フルセルフレジのみの導入。顔認証決済システムを利用しない場合は、現金での決済が可能となっている。

  レジに係る人時が少ないため、店舗全体のオペレーションが簡素化されているのも今泉2丁目店の特徴。店舗スタッフの業務は納品対応や品出し、店内清掃などに限られるため、日中は2人程度、夜間は1人で営業できるという。

 コンビニともミニスーパーとも異なる商品構成と価格政策、そして顔認証システムを用いた新たな決済システムと、それがもたらすローコストオペレーション――。TRIAL GOは食品小売における「小型フォーマット」の新たな境地を切り開きつつあるのかもしれない。

 TRIAL GOの今後の出店戦略については詳しくは公表されていないが、開発担当のTRIAL GO推進室CVSフォーマットリーダーの北川雅章氏は、「今泉2丁目店のような都心部を含めさまざまな立地で検証しながら、(TRIAL GOとしての)売場、MDを磨き上げていきたい」としている。

 

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