Z世代の今とは? MERY Z世代研究所が教えるマーケティングに活用したいZ世代のリアル
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年4月10日 20時55分
Z世代のリアルな声、等身大のZ世代について研究を進めるMERY Z世代研究所(東京都)。3月31日にサイトをリニューアルし、新たなマーケティングメディアとして生まれ変わった。メディア事業『MERY』で培ってきた情報力、コミュニティ力を武器に、今後はZ世代の「今」や「価値観」をどこよりも深掘りして発信していく。Z世代ってどんな世代? Z世代は何を求めている? 今回、MERY Z世代研究所 所長の平山彩子氏に取材し、Z世代のリアルについて話を聞いた。
Z世代のリアルを発信してマーケティング支援、さらにZ世代を元気に
Z世代とは、主に1996年ごろから2012年ごろに生まれた世代のことを指し、2023年時点で中学生から20代の若者が当てはまり、今後はこの世代が消費の中心になってくる。
MERY Z世代研究所の母体は、女性向けコミュニティメディア『MERY』を運営するMERY(東京都/藤田欣司社長)だ。フォロワー数が155万を超える人気メディアである『MERY』には、Z世代女性のリアルな声が集まり、強固なMERYファンからなるコミュニティ機能ももつ。『MERY』が有するこのZ世代の貴重な情報を、企業のマーケティング活動に広く活用することを目指して立ち上がったのがMERY Z世代研究所である。
Z世代というと、アグレッシブで自分の好きなことをどんどんやっていく世代というイメージが強い。しかし、所長を務める平山彩子氏は、「世の中では、『Z世代ってこうだよね』というイメージばかりが先行していて、実態は本当にそうかな?と感じることが多い」と話す。
その上で、「MERY Z世代研究所の大きな目的は2つあって、1つはZ世代について今語られているイメージと本当の姿とのギャップを埋めていくこと。もう1つは、仕事としてこれからマーケティングに携わることを目指す女性、すでにマーケティングに携わっている女性に向けて手触り感のある深い情報を伝えていくこと」だという。
「大切に考えているのは、Z世代の中で特別な人ではなく“真ん中”を伝えること。もがきながら自分探しをしている、一生活者としてのZ世代を伝えていく。現状では、そういったZ世代のリアルな部分が語られることが抜け落ちている」と指摘する。
表層的な部分からもう一段階踏み込んで、「趣味嗜好軸」「将来設計軸」「恋愛軸」などといった軸で深掘りを進め、定量調査だけでなく定性調査結果も踏まえてZ世代の価値観や傾向を研究する。研究結果は「Z世代マーケティング論」と題して、専門メディアにも寄稿している。
「Z世代の代弁者となることで、企業で働くZ世代が自分たちの世代について自信をもって語れるようになり、企業のマーケケティング活動に活かすことで、結果的にZ世代が元気になっていくような循環を目指している」(平山氏)
マーケ担当者ならぜひとも知りたい、「自分探しZ世代」のリアルとは?
平山氏によると、Z世代は「自分探し世代」。何者かにならねばという意識が非常に強いのだという。また、コミュニケーションの取り方の使い分けスキルが高いことも大きな特徴だ。どうすればその場の空気を乱さないかを察知する能力に長けている。
「場に応じて、配慮の仕方も巧みに使い分けることができて、それが自然とできてしまうところがすごいところ。人付き合いで素の自分を出すことはほとんどなく、常に仮面をかぶって生きているともいえる。人当たりがよいので私たち上の世代からすると、誰もがみんな『良い子』だと感じる一方で、『つかみどころがない』と感じてしまう部分も多い」と説明する。
「自分の悩みを打ち明けてこそ本当の友達」と考えられてきたこれまでとは違って、Z世代は親しい友人にも悩みを語ることに抵抗があるという。「場が重くなるから」「楽しい雰囲気を壊すと悪いから」と考えるからだ。
Z世代が好むのは「自分モテ」ファッション
そんなZ世代が好むファッションは、一言で表現すると「自分モテ」ファッションだという。
「『こんな風に見られたい』という他人からの評価は優先順位の一番ではなくて、自分自身が心地良いかを大切にしている」と平山氏。「こだわりどころが謎と思えるところもある」のは、パッと見ただけではどこがすごいのか、違いがわからないような、あくまでも自分がこだわりに添った「レア感」を大事にするからだ。
「Z世代はプチプラファッションを積極的に取り入れ、人と洋服がかぶることは気にしない。一方で、一昔前の女性がこぞって夢中になった誰が見てもわかるようなブランド品には興味がなくて(もちろん一部興味を持つ人もいるが)、お金をかけるところには一人ひとりのこだわりが反映されている。見栄えや周りからの評価は気にしないのがZ世代らしさ」。
情報収集能力が高いZ世代は、安くてかわいい洋服を上手にリサーチしてどこで入手できるのかも熟知している。無駄なものにお金は使わず、たくさんの選択肢がある中で「なぜそれを選んだのか?」を大切にする。
SDGsの観点から、大量消費・大量廃棄にも厳しい目をもっている。サステナブルとは相反する「安さ」だけを謳った商品に対しても、営利主義に偏りすぎた商品であることをしっかりと見抜く目がある。
Z世代との付き合い方のおすすめは「選択肢の提示」と「To Youアドバイス」
Z世代のリアルな姿、声を、広く企業のマーケティング担当者に届けようと、同社のサイトが新たなマーケティングメディアとしてリニューアルオープンした。
「内容は堅苦しいものではなく『Z世代のカバンの中』や『Z世代の1日のスマホ利用術』など、生活のリアルがわかるような内容のものが多い」と平山氏は語る。
いずれも、マーケティング担当者にとってはなかなか見たくても見ることができない、知りたくても知り得ない情報ではないだろうか。Z世代の今、Z世代の本当の姿を正しく、わかりやすく伝えていく。
以前から、ファッションブランド、コスメブランドなどと協業し、商品企画のソリューション事業も展開してきた同社。今後も消費者マーケティングを活用した企業とのコラボレーションも進めながら、そこで得た情報、知見をメディアを通して発信していくことで、Z世代マーケティングの好循環を生み出すことを目指す。
最後に、平山氏から、上の世代がどのようにZ世代と関わればよいのかアドバイスをもらった。
「まずは、今見ている面は、彼、彼女の1面でしかないと思って付き合うこと。場や相手に合わせて上手にコミュニケーションができるので、悪気なく2面、3面を使い分けるのが当たり前の世代だと認識しておくべき」。
その上で、「情報を選ぶ能力に長けているので、選択肢を示してあげるとコミュニケーションは円滑に進みやすいと思う」と続ける。
さらに、仕事上の上司と部下の関係であれば、「『あなたの良いところはこういうところだから、もっとこうした方がいい』といった具体的なアドバイスが効く。企業の人事の方にも、Z世代には明確な『To Youアドバイス』が効果的だと伝えている」。
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