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好調の「バーガーキング」社長インタビュー 28年末までに店舗数を3倍弱に増やす計画を語る

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年4月6日 20時55分

バーガーキングのロゴ

ハンバーガーチェーン「バーガーキング」は、2000円を超える高価格帯バーガーを販売したり、斬新な広告を打ち出してSNS上で話題になったりと“攻めた”取り組みが特徴だ。これらの施策を行う理由や背景、発想の原点について運営会社のビーケージャパンホールディングス(東京都)代表の野村一裕氏を取材した。

2000円超えバーガー、異端の商品戦略

バーガーキング
バーガーキング

 「マクドナルド」「モスバーガー」といった強豪がしのぎを削るハンバーガーチェーン業界において、バーガーキングがじわじわと勢力を拡大している。バーガーキングは2023年1~2月にかけて東京、神奈川、京都、兵庫、愛知において一挙に8店舗をオープンし、同店の店舗数は全国で185店舗(23年2月時点)となった。

 売上においても右肩上がりの成長を遂げ、19年以降はCAGR(年平均成長率)30%以上の伸長を継続している。新規店舗の売上を除いた既存店売上高も年々伸びている状況だ。

 バーガーキングが消費者の心を掴む理由の一つが、期間限定で仕掛けるユニークな新商品だ。たとえば23年2月に発売した超大型チーズバーガーの「キング・イエティ ザ・ワンパウンダー」は、単品で総カロリー1495kcal、税込2190円とカロリーも価格設定も強気ながら売れ行きは好調だ。

ビーケージャパンホールディングスの野村一裕社長
野村一裕社長(ビーケージャパンホールディングス)

 野村社長は「直火焼きで手間暇をかけ、味にこだわったハンバーガーがわれわれの強み。競合他社の状況はもちろん意識するが、正面からぶつかることはしない。強みを生かした戦略で勝負している」と商品政策の方針について説明する。

オーダーのデジタル化で、提供までの待ち時間を削減

 こだわりのハンバーガーがお客に喜ばれる一方で課題となっているのが、注文から商品の提供までの時間の長さだ。先述した直火焼きの工程を挟むためどうしても時間を要し、お客から「提供までの時間が長すぎる」と不満の声をもらうことも度々あるという。

 この問題を解決するためにバーガーキングが取り組んだ施策が、注文のデジタル化だ。19年11月には、スマホアプリから事前に注文できるモバイルオーダー「ピックアップ注文」を導入した。23年2月時点では、総注文数に対するモバイルオーダー比率は7〜12%にのぼる。

モバイルオーダー「ピックアップ注文」
モバイルオーダー「ピックアップ注文」

 野村氏は「コロナ禍で非接触を求めるお客さまが増えたこともあってモバイルオーダーの利用率が伸びており、注文から提供までの時間を店舗内で待つ必要がなくなった」と述べる。

 ほかにも店舗内にはタッチパネル式のオーダー用端末「KIOSK」を設置し、レジスタッフの省人化を進める。全店舗における同端末の導入率は約43%だという(23年2月時点)。

 「デジタル化はまだ第一期の位置づけ。モバイルオーダーもKIOSKも、ボタン配置の最適化や注文までのクリック回数の省略などシステム上で改善すべき点は多い。競合他社のデジタル化が本格的に進む中、異種業界や海外企業の事例を参考しながら一層のアップデートを図りたい」(野村氏)

“バズる”広告の裏側

 バーガーキングは広告の手法も独特だ。その独自のプロモーションがSNS上で“バズ”り、全国に認知を広げている。

 たとえば19年12月、「下北沢店」が新規開店の準備を行っていた際、窓一面にTwitter上の画面をプリントした広告を掲示した。そのTwitter上の画面とは、消費者が投稿した「バーガーキング下北沢店作ってくれや」というツイートと、バーガーキング公式アカウントによる「作ってんで! オープン初日にお待ちしています。」というリプライを映したスクリーンショットだ。その広告を見つけたお客が写真を撮ってTwitterに投稿すると、「面白い」とたちまち話題になりさまざまなニュース媒体に取り上げられた。

下北沢店のプロモーション
下北沢店のプロモーション

 「(当社は)広告予算は少ないが、知恵はある。まだ十分なブランド認知がない中、どうしたら少しでも多くの人にバーガーキングを知ってもらえるかを念頭に置き、効果的な広告アイデアを考えている」(野村氏)

 Twitterで話題になった広告はもう一つある。20年1月、秋葉原店の近隣にあるマクドナルドの閉店に伴い、秋葉原店の店頭に掲げた垂れ幕だ。一見すると長年しのぎを削ったライバル会社に対して労いと感謝の気持ちを込めたメッセージに見えるのだが、その文章を縦読みすると「私たちの勝チ」と読める。

バーガーキング
秋葉原店のプロモーション

 この広告について野村氏は「どう解釈するかはお客さま次第」とおどけた口調で話し、続けて「当社はTwitter上に流れる情報を日々観察している。誰かを傷つけかねない言葉は使わず、リスク管理をしっかりとした上で、広告に遊び心や面白さを加えていくことが大切だと考えている」と述べる。

年間50店舗のペースで新規出店を予定

 バーガーキングは今後の出店戦略として、2028年末までに500店舗体制をめざす。単純計算で年間約50店舗の出店ペースとなる。そのうえで重要な施策として位置づけるのが、2021年より強化し店舗数を増加させてきたフランチャイズ店のさらなる拡大だ。野村氏は「全国からフランチャイズオーナーをやりたいという問い合わせを多くいただいており、順次対応していく」と述べる。

 続けて野村氏は「新しく出店するたびに、Twitterで想像以上の反響をいただき認知度の向上を実感する。これは出店戦略に向けて大きな自信になっている」と語る。バーガーキングの出店戦略の目標達成まではまだ遠い道のりだが、こだわりの商品とユニークな広告を武器に躍進は続く。

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