オーガニックにマイナーワイン……ワインのプロが解説する「次に来るワイン」とは!
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年5月15日 20時57分
ワインの小売業や輸入卸業、経営コンサルティング業などを行うワインのプロフェッショナルことBMO(東京都)代表の山田恭路氏が、食品小売のワインの取り扱いについて解説する本連載。最終回は、今後予想されるワインのトレンドについて解説してもらった。
オーガニックワインの取り扱いは要注意!?
食品スーパーをはじめとした小売各社がワインに注力するようになって久しいが、ワイン市場にはまだ伸びしろがある。その「伸びしろ」としては、3つの方向性があると考えている。「オーガニックワイン」「マイナーワイン」「日本ワイン」だ。
オーガニックワインはすでに一定のファンがついており、食品スーパーでもプライベートブランドで高価格帯のオーガニックワインを販売するチェーンが増えている。オーガニックワインを取り扱ううえで注意したいのは、それらのワインのオーガニックの状態と、醸造の実態だ。
一般的に「オーガニックワイン」とは、農薬や除草剤、化学肥料を使わずにつくったワインのことを指す。オーガニックワイン市場の拡大を背景に、EUは2012年にオーガニックワインの醸造規定を制定し、そのワインがオーガニックワインであると認められる基準が大幅に緩和された。
現在、オーガニックワインの認証団体は数多く存在しており、認証の定義は団体によってさまざまだ。比較的容易に認証がとれるぶん、なかには名ばかりのオーガニックもあることを頭に入れておかなければならない。
たとえば、無農薬・無化学肥料の栽培であれば、建前はオーガニックにはなる。しかし、同じオーガニックでも傷んだブドウをそのまま醸造に使うワイナリーもあれば、徹底的に取り除く蔵元もある。前者は、醸造段階で多くの化学物質を使うことになるわけだ。また、「オーガニックであること」は、味や品質にはあまり関係がない点も見識として持っておくべきだろう。
「マイナーワイン」とは何か
それほど有名ではない産地、あるいはブドウの品種による「マイナーワイン」にも注目したい。
ワインの産地としては、フランスの南西部のボルドー、東部・ブルゴーニュなどが有名だが、あまり世間に知られていない産地でも良質のワインは多く存在する。たとえばボルドーに近いシュッド・ウエストや、イタリアのアブルッツォ州、マルケ州などがそうだ。
そのほか、スペインやポルトガルでは全域に未開拓のワイン産地があることで注目されている。東ヨーロッパでは、オーストリアやスロベニア、ハンガリーなど、南米ではアルゼンチンがコストパフォーマンスに優れたワインが製造可能と言われている。
また、ブドウの品種では「シャルドネ」や「カベルネ」などが広く知られているが、それ以外の「地ブドウ」も大きな可能性を秘めている。イタリアやポルトガルには、200種類以上の地ブドウが存在する。そうした地ブドウでつくられた、“掘り出し物”のワインは多い。
地ブドウが育つような畑では、土地代が比較的安価なこともあり、こともあって、安価に生産できるケースが多い。腕の立つ生産者と関係性を築くことができれば、良質なワインを安く手に入れることができるはずだ。
「日本ワイン」のワイナリー数は、この数年で倍に
国産のブドウだけでつくった「日本ワイン」の市場も伸びている。国内のワイナリーの数は、2016年の280から徐々に伸び2021年には413にものぼる(※国税庁データによる)。数年前から国産のブドウだけでつくったワインのことを「日本ワイン」と呼ぶようになっているが、国産ワインは海外から輸入したブドウを使って国内で製造しているものが多く、「日本ワイン」の数はまだ少ない。
安定した品質の日本ワインを販売する大手メーカーとしては、キリンホールディングス傘下で国内最大手のメルシャン(東京都)、サントリー(大阪府)、マンズワイン(東京都)などがある。世界経済の情勢は不透明な状況が続いており、業界全体で国産の高品質なワインの拡大、開拓に取り組んでいくべきだ。私が代表を務めるBMOでも現在、当社が卸販売者となって北海道産の日本ワインを開拓する試みをしている。
これまで述べてきたとおり、バイヤーの育成、企業戦略に則った直輸入ワインの選別、売場でのプレゼンテーションなど、食品スーパーのワイン販売においては改善できる点が多く残されている。「伸びしろ」があるぶん、今後のワイン市場の発展にも期待できる。
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