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コロナ5類で季節催事は盛り上がる? 今年の「花見」に見る消費者心理

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年5月11日 20時55分

コロナ5類移行も
意外にも花見は不発

 日本政府により、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に引き下げられる。緊急事態宣言や、マスク着用の推奨、飲食店への営業時間短縮要請などはなくなる。そうしたなか、食品スーパーで中食を中心とした稼ぎ時となる「季節のイベント」を楽しむ意欲はどれほど回復するだろうか。

 直近の4月では、コロナ感染拡大以降、4度目のシーズンとなる「花見」があった。東京では、史上最速タイの開花宣言が行われ、外出自粛要請などもなかったことから盛り上がりが予測されたが、実際の開催率はコロナ禍の低迷を巻き返すような回復はみられなかったようだ。

 しかし、消費者が季節のイベントを楽しみたいという気持ちは本当に高まっていないのだろうか。リクルートの飲食に関する調査・研究機関である『ホットペッパーグルメ外食総研』では、毎年、首都圏・東海圏・関西圏の約1万人を対象に、歓送迎会と花見への参加についての調査を経年で行っている。この結果を参考に、消費者心理を探っていきたい。

参加意欲は過去最高も
「昨年と変わらない」が8割超

出典:「ホット」
出典:「ホットペッパーグルメ外食総研」

 23年春の「花見」への参加回数の見込みは、増加派(「昨年より大きく増えそう」+「昨年よりやや増えそう」)が計16.3%で、2013年の調査開始以来最高の割合となった。

 一方、減少派(「昨年より大きく減りそう」+「昨年よりやや減りそう」)は計0.4%と、過去最低の割合に減少減った。花見への参加意欲は回復傾向にありそうだが、「昨年と変わらない」が83.3%と最も高い割合ではある点も押さえておきたい。

20代の参加意欲高まる
想定支出金額も3年ぶりに上昇

 次に、コロナ禍での「花見」の参加率の推移を見ると、20年は9.4%、21年は11.1%、22年は11.8%。と微増が続いている状況だ。22年の性年代別の特徴としては、「増加」派は20代女性が最も多く21.6%、次いで20代男性が20.5%と、とくに若年層を中心に参加意欲が高まっている可能性がありそうだ。
 
 続いて「花見」の費用について、22年の実際の金額と23年の想定金額を聞いた。結果はともに「2000円未満」が最多だった。ただ、22年・21年の実績では「0円」~「2000円未満」が過半数のシェアを占めたが、それと比較して23年の想定額は「0円」の回答が減少している。また、花見1回当たりの想定支出金額平均は2495円(22年比+202円:1人当たり)で、3年ぶりの前年比プラスの予想となっている。

出典:「ホットペッパーグルメ外食総研」
出典:「ホットペッパーグルメ外食総研」

 こうした傾向を受けて、リクルートホットペッパーグルメ外食総研上席研究員の稲垣昌宏氏は「コロナ禍からの回復に伴い、花見のような飲食を伴う季節行事が増えることは、食品スーパーの中食の平均単価を押し上げる効果が期待できるのではないか」と述べている。

 そのほか、今回は詳しくは触れないが、「歓送迎会」についても、「花見」とほぼ同様の傾向で、参加回数の見込みは、「増加」派が過去最高値、1回あたりの想定費用も前年比で上昇している。

 これらの結果から、消費者の季節の催事やイベントにおける参加や消費意欲は着実に高まっていることがわかる。

 しかし、今年の花見に見られる参加率があまり高くなかったことや、参加意欲が「昨年と変わらない」と回答する人が多いことを見ると、コロナ禍でのライフスタイルが定着しており、それを変えるのは容易ではなさそうだ。食品小売各社が季節催事で需要獲得していくには、これまで以上に消費者を惹きつける催事提案が求められているのかもしれない。

調査概要:
インターネット調査、調査期間:2023年2月1日~2023年2月9日
有効回答数:9860人(首都圏、関西圏、東海圏の合計)※令和2年国勢調査人口に基づいて性別・年代・地域の250区分でウェイトバックを実施

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