ハイブランドが熱視線!メタバース「ZEPETO」でデジタルファッションが売れる理由とは
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年6月4日 20時55分
メタバースという言葉を聞くようになって久しい。男性ユーザーの比率が高いメタバースが多い中、Z世代とその次の世代であるアルファ世代(2010年以降に誕生)の女性ユーザー比率が高いZEPETOは異色の存在だ。こうした特徴に着目したハイブランドや人気ブランドが、ZEPETO内でアイテムを販売する流れが生まれている。その背景やZEPETOの特徴、今後の展望について、運営元の日本法人であるNAVER Z Japan(東京都)の日本事業統括を務める加嶋雄一氏に話をうかがった。
アバターに着せるデジタルアイテムを、ハイブランドとコラボして販売
![ZEPETO公式ツイッター](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2023/05/3.png?auto=format%2Ccompress&fit=crop&h=300&ixlib=php-3.3.0&w=139&s=af2d470cb1a50a44c909031c6a3bc673)
韓国に本社を置くNAVER Zが運営するメタバース空間『ZEPETO』。ZEPETOはこれまで150社以上の企業とコラボレーションしてきた。例えば、ハイブランドであるGUCCI(グッチ)との取引は長く、累積70万個以上のデジタルアイテムの販売実績がある。企業はなぜZEPETOに価値を見出すのだろうか。
「ZEPETOの登録者はグローバルで4億人を超え、その7割をアルファ世代やZ世代が占める。ユーザー層の女性比率が7割以上という点も特徴。企業にとって10~20代半ばまでの女性にアプローチできる手段は少ない。だから評価されているのではないか。例えば、ハイブランドの場合は、若い世代にまずブランドを認知してもらい、愛着をもって欲しいと考えている。こうしたユーザーが10年後、20年後に実際の商品を購入する層になっていく」とNAVER Z Japan日本事業統括の加嶋雄一氏は話す。
企業がZEPETOを活用する方法としては大きく2種類ある。1つはZEPETO内でデジタルアイテムを販売することによるマネタイズ。店舗で販売している実商品と同じデザインのデジタルアイテムを販売することもあれば、ZEPETO用のブランドを作って販売することもある。
2つめは集客やプロモーションとしての利用だ。ブランド独自のワールド(ZEPETO内の3D仮想空間)をつくり、ECサイトやオウンドメディアに集客したり、実店舗に行くとインセンティブがもらえる仕掛けを用意したりする。
理想のスタイルを求める女性ユーザーが支持
![ZEPETO表示画面](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2023/05/1.png?auto=format%2Ccompress&fit=crop&h=300&ixlib=php-3.3.0&w=135&s=a6b8e73bdfacedc08066eece43007806)
ZEPETOはアバター制作にフォーカスしたサービスとして、2018年3月よりスタートした。「個性あるアバターにするためには髪型や体型やメイク、服装などの機能が必要で、その点にこだわった。結果的に、ファッションやメイクに関心のある若い女性ユーザーが多く集まったのではないか」(加嶋氏)
他社では2Dや2等身のキャラクターが多いが、ZEPETOでは現実と近い、しかもモデル並みの8~9等身の姿で活動できる。
「仮想空間では、なりたい自分になれる。現実では買えない高い服でもデジタルコンテンツなら数百円から買え、体型も自分の理想にできる。現実とは違うバーチャルな人格として活動できることを魅力に感じてもらえていると思う。また、アルファ世代やZ世代は価値観が多様化していて、好きなものもさまざま。好きなものでつながれる場所も求められていると感じている」(同)
好きなもので世界中の人とつながる
![ZEPETO日本事業統括](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2023/05/IMG_5756.jpg?auto=format%2Ccompress&fit=crop&h=300&ixlib=php-3.3.0&w=210&s=d341f673636fbaaadacd1e851fc18684)
ZEPETOには、好きなものでつながるソーシャルグラフ(Web上の人間関係や結びつき)が数多く存在する。例えば、韓国のアーティストのコミュニティ、サンリオなどの同じIP(Intellectual Property、知的財産)が好きな人同士のコミュニティ、かっこいいコンテンツや笑えるコンテンツを求めている人のコミュニティなどがある。
「アーティストの例では、BTS の韓国ライブを、ZEPETO内の『BTS <Yet To Come> in BUSAN』にある巨大ディスプレイで放映した。バーチャルな友達と一緒に、自宅にいながらライブを見られる企画だ」(加嶋氏)
グローバルにユーザーがいるので、好きなものを通じて世界中の人と交流できる。「ユーザーは自分でワールドを作ることが可能で、ワールドの言語は作ったユーザーの言語に依存する。そのため、日本語、韓国語、英語などさまざまな言語が使われている。コミュニケーションはテキストやボイスチャットに限らず、ジェスチャーやポーズ、一緒に撮影するなどさまざまな手段があり、言葉が通じなくてもユーザー同士はつながっていく」(同)
さまざまな広がりを見せているZEPETOだが、年齢層の高い人にとっては、バーチャル空間に入ることへの心理的ハードルはまだ高い。
「例えば、現在も行われているライブ配信は、視聴してコメントを書き込むなど気軽に参加できる。こうした機能を周知させながら、参加する際の技術的ハードルも下げて、ユーザー層を広げていきたい」(同)
加嶋氏は市場全体の広がりにも期待を寄せる。「メタバースはかつてのセカンドライフと比較されることが多い。しかし、当時とは接続する回線の状況が違い、今ではリッチなコンテンツをスピーディーにやり取りできる。インフラやネット技術が進化していくことによって、業界自体はさらに成長すると日々実感している。ZEPETOとしても、ユーザーが表現できる要素をさらに増やしていく」
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