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関係者も注目の新たなモデル店舗? 「イトーヨーカドー和光店」の食品売場を解説!

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年6月6日 20時53分

イトーヨーカドー和光店の外観

セブン&アイ・ホールディングス(東京都)傘下で、構造改革を進めているイトーヨーカ堂(東京都)。その実力を探るべく、本稿前編では、21年12月に改装オープンした「イトーヨーカドー和光店」(和光市)の食品売場内、青果・鮮魚・精肉・総菜を解説した。後編では、日配・加工食品・冷凍食品の売場を見ていこう。

イトーヨーカドー和光店の外観

回遊性意識した日配、冷凍食品が戦略商品?

 和日配は青果の鮮魚のあいだ、洋日配はレジ側から見て右サイド、総菜、冷凍食品・アイスクリームとの関連とそれぞれ生鮮売場と一体化させて売場を展開する・

 和日配の主通路沿い冷蔵ケースは「練物」「揚げ」「豆腐」「納豆」の並びで、「漬物」「麺」「催事」は平台で展開。売れ筋に「セブンプレミアム」に差し込み、要所にこだわり商品を入れたオーソドックスな商品構成となっている。

 洋日配は、パンに力入れていて、平台3台ぶんのスペースを割いた。和菓子は「スイーツ」「プリン」「ゼリー」の括りに配置。「ヨーグルト」「乳製品」「ピザ」のほか「佃煮」「豆」などの和日配は総菜の関連で展開しており、全体的に回遊性を意識した売場であるようだ。

 冷凍食品・アイスクリームが総尺数約300尺近く、同社最大規模で売場を展開する。冷凍食品はレジ側から見て手前側のリーチインケースで「氷」「果実」「デザート」「軽食」「冷凍野菜」「ピザ」「パスタ」と国産の売れ筋を中心にラインナップ。奥側のリーチインでは、36尺で「韓国」「中華専門店」「おかず」「セブンプレミアム」「ワンプレート」「レストラン(デニーズ)」などこだわり商品が目を引く。

 平台では36尺のスペースで「麺」「米飯」「野菜」「魚類」を売れ筋中心にラインナップ。中央のオープン什器はセブンプレミアムコーナー、精肉売場前の14尺、16尺のスペースでは催事商品展開。冷凍食品を戦略商品と位置づけているのは間違いない。

 数ある商品の中でとくに存在感を示していたのが、イトーヨーカ堂のオリジナル冷凍食品の「EASE UP(イーズアップ)」で、「海鮮中華かゆ」(398円)、「スープカレー」(458円)など27品目のほか、「おうちで楽しむデニーズ味」としてグループのレストランチェーンデニーズの冷凍食品13品目を大きく展開していた。

 アイスクリームは、手前側32尺裏表2本、エンド6尺2本で、「個食」「マルチ・プレミアム」を陳列。個食タイプは108円を軸に「ハーゲンダッツジャパン・ミニカップ」は198円、マルチパックは278円~298円で販売していた

選ぶ楽しさを意識したワインコーナー

 加工食品は売場スペース構成比22%と、一般的な食品スーパーと比べるとコンパクトな売場であるようだ。売場では「名店のカップ麺集めました」「ご当地醤油あつめました」とテーマを掲げ、提案が意識された売場となっているものの、ナショナルブランドとセブンプレミアムをベースにこだわり商品を織り交ぜた無難な構成となっている。

イトーヨーカドー和光店の売場レイアウト

 酒類はレジ前約80坪(歩測)のスペース、約380尺で売場を展開しており、カテゴリー別にゾーンを形成する。冷蔵ケース28尺2列では「ノンアルコール」「缶チューハイ」「ビール系飲料」、6尺のエンドでは国産・輸入の「クラフトビール」を配置。「ご当地チューハイ」「ハイボール酒場」「こだわりのレモンサワーの世界」とテーマ別に商品を並べている。

 力を入れているのがワインで、4つのブロックでテーマ別に独自の括りで商品を並べえいる「飲み切りワイン」「ディリーワイン」「オーガニックワイン」では値ごろ感のある輸入ワインを揃える。こだわりワインはセラーに配置。「銘醸ワイン」「世界の美味しいもの」「プチ贅沢ワイン」「ROSEワイン」などそのほかにも独自のカテゴリーで商品を提案しており、つい足を止めてしまう売場となっている。国産ワインは産地別の陳列で、「山梨県」「長野県」をベースに、「北海道」「山形県」「岩手県」とそれぞれ産地のワイナリー別に陳列している。近隣にあるヤオコー和光円山台店を意識した、選択の楽しみを演出した売場配置、商品構成であるようだ。

 

イトーヨーカ堂改革の残るピースとなるのは……

 調査期間中の4月3日の朝に店舗を訪れたときのことだ。平日にもかかわらず、その日は売場が完璧に整理整頓され、生鮮売場には朝とは思えないほど商品が並び、まるでオープニングのような雰囲気が売場に漂っていた。

 何が起こったのかと店内を見ていると、売場に一角に、背広姿の外国人と作業着を来た店舗スタッフとみられる4O人前後の姿があった。見ていると、背広姿の人物に店舗スタッフが真剣な表情で何かを説明しており、売場の漂う物々しさもあってこのビジターは海外株主ではないかと筆者は推測した。

 イトーヨーカドー和光店の売場を見て、ビジターは何を感じ取ったのだろうか。いずれにせよ、この店舗は重要人物が視察に訪れるイトーヨーカ堂にとってのモデル店的な位置づけであることは想像に難くない。

 筆者はこれまで長年にわたりイトーヨーカ堂の店舗を拝見してきた。イトーヨーカ堂の店舗の特長は売場管理能力に優れている点だ。同社の店舗には全店統一の「型」があり、どの店舗もその「型」を維持する能力が高い。

 一方、スーパーマーケットチェーンの多くは売場の「型」は統一されつつも、それぞれの店舗が独自のスタイルをめざしていて店ごとの個性を感じる。と優良チェーンとされる「ヤオコー」「ベルク」などはその傾向がとくに強く、売場を常に変化させ、工夫が凝らされている。

 イトーヨーカドー和光店は、商品づくり、商品構成、オペレーションどれをとっても重要人物が視察に訪れるのも納得できる優れた店舗だが、それらはあくまで「型」の中で完結しており、「現場の意思」のようなものはあまり伝わってこなかった。イトーヨーカドー和光店の課題をあえて挙げるのであれば、それが現場力の向上だ。売場の真価を発揮させるのはやはり現場の個性であり、たとえ優れた売場でもそれなしではどこか物足りなさを感じてしまう。長年続いてきたイトーヨーカ堂改革だが、その最後のピースは現場力にあるのでないだろうか。

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