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「STORE OF THE YEAR 2023」から見るホームセンターの最新トレンドとは?

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年5月29日 20時55分

イオン九州の新業態「GREEN PICNIC」。「ただの園芸店を超えるテーマパーク」をめざしている

『ダイヤモンド・ホームセンター2023年4月15日号』にて、人気企画「STORE OF THE YEAR 2023」が実施された。これは2022年の1年間で新規オープン・リニューアルした店舗の中から、最もインパクトのあったものを読者投票で選ぶ企画だ。どのような店舗が上位入賞したのか。そこからホームセンター(HC)店舗の最新トレンドを読み解く。

DCMが初の第1位に!

体験型のDIY専門店に注目が集まる

DCM DIY Place
「ストア・オブ・ザ・イヤー」第1位に輝いたDCM DIY Place

まず上位トップ10に入賞した店舗の顔ぶれを見ていこう。図表の店舗がトップ10にランクインした。

順位 店名 売場面積(㎡) 所在地
1 DCM DIY Place 1187 東京都渋谷区
2 カインズ浦和美園店 1万7644 埼玉県さいたま市
3 ホームセンターバロー千音寺店 1万2000 愛知県名古屋市
4 スーパービバホーム八王子多摩美大前店 1万2000 東京都八王子市
5 GREEN PICNIC糸島 3300 福岡県糸島市
6 カインズ壬生店 8396 栃木県都賀郡
7 コーナンPRO世田谷八幡山店 2180 東京都世田谷区
8 サンデー仙台卸町店 5759 宮城県仙台市
9 ジュンテンドー加西店 4321 兵庫県加西市
10 ホームセンターグッデイ姪浜店 3984 福岡県福岡市

DCM(東京都/石黒靖規社長)が東京都渋谷区の商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」に出店した「DCM DIY Place」が読者からの圧倒的な支持を得て第1位に輝いた。第20回を迎える同企画でDCMがグランプリを獲るのは今回が初めてとなる。

詳細な売場づくりについてはダイヤモンド・ホームセンター誌に任せるが、同店はDIYに特化した体験型の新業態店舗だ。「これまでDIYを体験できる場所が都心になかった」「家庭の困りごとや対策をわかりやすくディスプレーできている」「DIY文化を広める店舗は業界全体の活性化につながる」といったポイントが評価された。

売場面積は約360坪で、約1SKUに絞り込んだ。

同店は大きく「ハードなDIYゾーン」と「ソフトなDIYゾーン」の2つに分かれている。

ハードなDIYゾーンでは、体験に特化した売場づくりを行う。「壁紙体験」「床材体験」「漆喰・MORUMORU体験」「塗装体験」「収納棚作成体験」の5つの体験コーナーを設置したほか、150種類以上の壁紙や賃貸住宅でも取り外し可能な床材などを販売している。

一方、ソフトなDIYゾーンでは、防犯、キッチン、清掃、グリーンなどの商材を取り扱い、暮らしの困りごとの解決に役立つ提案をしている。

オープン以降も細かく売場改装を重ねてきた。オープンから約半年たった235月時点で視察に行くと、オープンの取材時とは異なる点がいくつも見られた。

2位はカインズ浦和美園店。もともとカインズの中でも売上上位に入る旗艦店舗で、リニューアルにより売場面積を拡大。ガーデニングやリフォームで新たな提案を行っている。

3位にはホームセンターバロー千音寺店が続いた。HC店舗のほか、スーパーマーケットの「バロー」、ドラッグストア「Vドラッグ」、ペット専門店「アミーゴ」とグループが一体となった商業集積で、専門性を追求した売場づくりが評価された。

上位入賞店舗に見られる
3つのトレンド

今回、上位入賞店舗に明確な共通点が見られた。それは商圏人口が密集している都市部に立地している点だ。「カインズ壬生店」を除いた9店舗すべてが都市型立地である。その中でも、とくにDCM DIY Place、「コーナンPRO世田谷八幡山店」、「サンデー仙台卸町店」の3店舗は、これまでHC企業がターゲットにしてこなかった都心部に出店している点が特徴的だ。それぞれ通常のHCやプロショップとは異なる売場づくりに取り組み、新たな需要を取り込むねらいだ。

プロ業態で業界をけん引するコーナンPROは近年、密度の濃い売場づくりに注力している。売場面積を縮小しながらも、資材・工具も含めた職人にとって必要な商材を充実させたMDを磨き、より人口密度の高いエリアに出店攻勢をかけている。

もう1つは体験型の新業態である。第1位のDCM DIY Placeは上述のとおりだが、第5位の「GREEN PICNIC糸島」はイオン九州(福岡県/柴田祐司社長)による「ただの園芸専門店」を超えたテーマパークのような新業態である。双方に共通しているのは、物販だけでなく「体験」を重視している点である。両店舗ともこれまでに類似するフォーマットが業界内にほとんどない点も革新的だといえる。両店舗は新たな需要を生み出す挑戦の一歩となるだろう。

イオン九州の新業態「GREEN PICNIC」
イオン九州の新業態「GREEN PICNIC」。「ただの園芸店を超えるテーマパーク」をめざしている

また、新たなトレンドとして注目したいのが、環境への配慮、SDGs(持続可能な開発目標)を意識した店舗が高評価を受けているという点である。第6位にランクインした「カインズ壬生店」がその象徴で、売場づくりはさることながら、同店が評価されたのは、「CO₂フリー」であることや、100%再生可能エネルギーを活用しているという点だった。

壬生店は約20%を店舗天井に設置した太陽光パネル、約8割を木質バイオマスによる発電で賄っている。木質バイオマスは地場のエネルギー企業「エフオン壬生」から購入している。そのほか、壬生店では空調や照明を調整することで排出するCO₂量の削減にも取り組んでいる。

こういった取り組みが業界で注目を浴びるのは新たな時代の流れといえる。お客も環境にやさしい企業を選ぶ時代がすぐそこまで近づいている。

カインズ壬生店
カインズ壬生店は「CO₂フリー」で、100%再生可能エネルギーを活用している

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