全国の組織で連携! 生協が始めた本気の施策「コープサステナブルアクション」
ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年6月28日 20時48分
生協は、社会課題の解決が組織の原点であることから、サステナビリティを先進的に進めてきたパイオニアだ。そんな生協がサステナビリティをさらに加速させるべく、新しいプロジェクトを始動した。具体的にどのような取り組みか、レポートする。
連帯することで
社会的インパクトを
全国の生協の連合会である日本生活協同組合連合会(東京都/土屋敏夫代表理事会長:以下、日本生協連)と全国各地の生協は5月23日から、新プロジェクト「コープサステナブルアクション」をスタートした。期間は2026年3月末までを予定する。
同プロジェクトは、環境や社会問題について「知り」「学び」「アクションする」きっかけをつくり、生協組合員約3000万人だけでなく、組合員以外にも参加の輪を広げながらSDGs(持続可能な開発目標)の実現をめざすというものだ。
これまで生協は、協同組合として、脱炭素、食品ロス削減、エシカル消費の推進などを重要政策に掲げ、事業や活動でサステナブル活動を進めてきた。
その活動は着実に成果を出しつつある。たとえば、22年度には日本生協連が開発・供給するプライベートブランド(PB)「コープ商品」のうち、人や社会、環境に配慮した「エシカル消費対応商品」の供給高は、対前年比6.5%増の2169億円と3年連続で大幅伸長している。
しかし昨今は、SDGsやサステナブル活動が社会的に広がり、流通小売各社も取り組みを加速させている。そうしたなか今回のプロジェクトを通じて「生協として今より生協の活動を見える化し、認知度を上げていく」(日本生協連執行役員 組織推進本部の本木時久本部長)としており、あらためてサステナブル活動のリーダーとしての存在をアピールしたい考えだ。
これまでにも生協は、全国の地域生協で連携して取り組むプロジェクトを実施してきたが、「コープ商品総選挙」「くらし応援キャンペーン」などの販促イベントが中心で、社会的な取り組みは記憶にない。
全国で連帯することで社会的インパクトを発揮し、環境目標の達成や認知度向上を図りたいねらいがあるとみられる。
「学び合い」のある
5つのコンテンツ
「コープサステナブルアクション」では、オリジナリティ溢れる企画設計に注目したい。学習活動など組合員同士の「学び合いの文化」があるという生協の強みを生かし、消費者参加型のコンテンツを提供する。
コンテンツは計5つ。順に紹介すると、①「見つけよう!コープいきもの探しクエスト」は、いきものコレクションアプリ「Biome(バイオーム)」内で“クエスト”と呼ばれるイベントを実施する。日常生活で出会った動植物の画像を投稿すると、時期、地点、種名などのデータがアプリ上に蓄積され、寄稿変動による影響調査や生物多様性の保全などに役立てられる。
②「目指せ!サスシェフコンテスト」では、サステナブルを意識したレシピアイデアを募集し、審査で選ばれたアイデアは専門家監修のもと本格的なレシピとして、特設サイト内で紹介する。審査委員長は“冷凍王子”こと冷凍生活アドバイザー西川剛史氏が務める。
③「どこにある?サステナブル」では、日々の暮らしの中にあるサステナブルな事例を「家の中」「外出中」「お店の中」の3シーンごとに紹介。身近なところからサステナブルにつながる行動を起こすヒントを提供する。
④「サステナブルを学ぼう!サステナブル博士の部屋」では、4つのテーマ「エシカル」「脱炭素社会」「循環型社会」「生物多様性」について、動画やワークシートをはじめとする各種学習ツールを提供する。
⑤「動画で学ぼう!SDGsのじかん」では、環境やサステナビリティに関するテーマについてオンラインで工場見学や学習講演などを開催する。
いずれも気軽に、楽しみながら参加できそうなコンテンツだ。日本生協連サステナビリティ推進グループの新良貴泰夫グループマネージャーは「サステナブルに取り組むことは、特別なことでも、我慢することでもなく、楽しみながら続けることができるということを伝えたい」と述べている。
コロナ禍の供給高増で
「削減」どころか逆に「増加」
このように生協がサステナブルな施策を加速させるもう1つの背景に、日本生協連が掲げる、環境・サステナビリティ施策における高い数値目標がある。
日本生協連は30年までに達成をめざす、環境・サステナビリティ施策による「5つの数値目標」を掲げている。22年度までの達成度は次のとおりだ。
―――――――――――――――――――――――――
「CO2排出量40%削減(2013年度比)」=35%減(供給高あたりでは45%削減)
「再生可能エネルギー の年間発電量4億kWh(設備容量200MW相当)」=2億kWh(116MW)
「使い捨てプラスチック容器包装の使用量25%削減(18年度比)」=7%増(供給高あたりでは3%削減)
「商品カタログに使用する紙使用量25%削減(21年度比)」=4%増(20年度比:供給高あたりでは3%削減)
「食品廃棄物を50%削減(18年度比)」=10%増(供給高あたりでも6%増加)
―――――――――――――――――――――――――
生協はコロナ禍で宅配事業の大きく伸びたことで、全体供給高が増加。これによりプラスチック容器包装や紙の使用量については、削減どころか逆に増加してしまっている現状がある。
30年の目標年度まであと7年。「コープサステナブルアクション」実施により生協自らのサステナブル活動を加速させていく考えだ。
専用SNS開設で
組合員以外も巻き込む
多くの人に参加してもらうべく、日本生協連は専用のSNSを開設する。
各会員生協でもSNSや組合員活動の場を通して組合員、組合員以外にも参加を呼びかける。全国の生協が一体となり、組合員以外も巻き込んだイベントとなるかも注目したいポイントだ。
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