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輝く鳥居がシンボル! 金運アップを祈願する、京都の注目神社の巧みなブランド戦略!

ダイヤモンド・チェーンストア オンライン / 2023年7月20日 20時55分

京都市中京区にある御金神社。金運アップのご利益があると言われ、近年、一気に知名度を上げ、“集客力”を増している

京都で人気の寺社といえば金閣寺や清水寺、伏見稲荷大社などが上位にランキングされる。その中、近年、一気に知名度を上げ、“集客力”を増しているのが「御金(みかね)神社」だ。ネット上で話題になっているほか、テレビ番組で取り上げられる機会も増えている。京都では比較的新しい同神社がなぜ注目を集めるのか、現地に足を運んだ。

京都市中京区にある御金神社。金運アップのご利益があると言われ、近年、一気に知名度を上げ、“集客力”を増している

「最強開運日」にできた500mの行列

 京都市中京区にある世界遺産、二条城。幕末、大政奉還について話し合われた歴史的な場所だが、そこから東へ約300mにあるのが御金神社である。周辺は静かな住宅地が広がる中、同神社は一際、目を引く。

世界遺産、二条城から東へ300mに位置する
御池通から西洞院通を北へ約90mの場所にある

 理由は、金運アップのご利益があると言われ、さらに黄金に輝く鳥居が立っているから。見るも眩いその姿に惹きつけられるように、連日、全国から多くの参拝者が集まってくる。程度の差こそあれ人はお金に興味があるはず。この意味では、今や日本国民の誰もが一度は訪れたいと思うであろう聖地が御金神社なのだ。

すべてが眩しいほどの金ピカだ
石柱に彫ってある神社名も金色に輝いている

 それを象徴するかのような光景が2023年3月21日に見られた。小ぢんまりとした神社を先頭にできた行列は実に約500m。神社のある西洞院通から南へ伸び、御池通の交差点で西に折れ、最後尾は堀川通まで続いた。

 Googleマップの口コミ欄を見ると、当日の様子を記録した書き込みが複数確認できる。「今年最強開運日で大行列!待ち時間、3時間54分!!<中略>神社側もこの日だけは『特別対応』。通常は16時で終わりの社務所ですが、列最後の人まで対応してくれました!感謝、感謝です!」。

 わざわざ京都まで来て4時間も待たされたら、普通は心が折れる。中には怒り出す人もいるかもしれない。だが御金神社の場合、目的が金運アップなので、怒るどころか「感謝、感謝」となる。

 一向に短くならない行列を牛歩のごとく進むこと数時間。最後、ようやく金色の鳥居が目の前に現れた瞬間、参拝者は「あぁ、神様!」と、ありがたく手を合わせたに違いない。

 上記口コミにある「最強開運日」とは、吉日が重なったことを意味する。詳しくは各人の検索努力にお任せするが、「一粒万倍日」「天赦日」「虎の日」という、1つだけでも縁起が良い吉日が3つ重なった。さらに、それが春分の日だったため、大行列となった。

 京都で人気のお寺や神社と言えば、金閣寺や清水寺、伏見稲荷大社などが上位にランキングされる。しかし、それら有名どころをすっ飛ばし、まずは御金神社へとやってくる観光客も少なくないと想像できる。

素晴らしいブランド戦略

 実は御金神社の歴史を調べると、意外にも新しいことがわかる。鳥居の横に設置してある「御金神社御由来」には、「昔は民家にあって密かに祭祀されていたが明治十六年(1883年)今の名を附して社殿を建立し」と記されている。冒頭に触れた、大政奉還についての話し合われた時には存在していないことになる。

「御金神社御由来」には、「明治十六年(1883年)今の名を附して社殿を建立し」と記されている。京都の神社としては比較的新しい

 また、おもな祭神は金山毘古神で、本来は鉱山や鉱物の神様。昔は鏡や刀剣類の武具、農耕器具の鋤や鍬といった道具、金属類を守る存在だった。しかし金属は、お金との親和性が高いためか、近頃は「金運アップ」のご利益がもてはやされるようになった。

 ではシンボルの鳥居は、いつから金色に輝いているのか。建立された明治期からなのか。実は、ほんの数10年前まではごく普通の神社だった。こう断言できるのは、私が御金神社から徒歩数分の中学校に通っていたからだ。同級生から得た極秘情報によれば、劣化した鳥居を見たある氏子さんの提案で金色に塗ったのだそうだ。

 真偽の程は不明だが、ブランド戦略という点ではまったく素晴らしいと感じる。「御金」→「お金」→「鳥居を金色に」という発想が、現在のように全国から注目を集める結果となった。

 今回、私はあらためて御金神社を訪れた。吉日ではなかったものの、休日だったため数10mの行列ができていた。神社自体は24時間開いているのに行列が進まないのは、お札やお守り、絵馬を販売する社務所が開くのが午前10時だから。訪れたのは同9時50分頃で、参拝者は社務所の“営業”開始を待っていたのだった。

今回、あらためて訪れると数10mの行列ができていた

 そして午前10時──。参拝者は順に境内へと入り、参拝の後、お目当てのグッズを奪い合うように買い求めていた。参拝者の願いごとはもちろんお金にまつわることが大半。「お金持ちになりますように」「借金を完済したい」「FXで大儲け」など多様である。聞いたところによると、今年は「インボイス制度が廃止になりますように」というユニークなものもあるという。

午前10時、お守りや絵馬などを販売する社務所が“営業”を開始すると、参拝者は順に境内へと入り、参拝の後、お目当てのグッズを奪い合うように買い求めていた

 肝心の効き目、いや、ご利益はどうか。Googleマップの書き込みには、幸運が訪れたという話が多く載っている。「部屋を掃除すると封筒を数枚発見。その1枚から30万円が出てきた」「お参りして直ぐに18万の馬券が当たりました」「夫がパチンコで大当たり!」など。中には、宝くじで1等を当選した人もいるようだ。

 京都に来たら、一度は足を運ぶ価値はありそうだ。神社なので、くれぐれも雑念を捨て、清い心でお参りください。

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